基幹共同研究「常民生活誌に関する総合的研究」 " 日常茶飯 " —日本人は何を食べてきたか
基幹共同研究「''日常茶飯''-日本人は何を食べてきたか」第7回公開研究会 終了報告
「携帯食の民俗学-弁当箱・汽車土瓶などの物質性をめぐって-」
角南聡一郎氏(日本常民文化研究所所員 神奈川大学国際日本学部准教授)
日時:2025年2月13日(木)17:30~19:00
会場:Zoomミーティング
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復刻版汽車土瓶(個人蔵・角南撮影)
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崎陽軒シウマイ掛け紙(角南所蔵・撮影)


日本常民文化研究所 基幹共同研究「常民生活誌に関する総合的研究」「"日常茶飯"—日本人は何を食べてきたか」第7回研究会は、公開講演会(オンライン式)として開催された。「携帯食の民俗学-弁当箱・汽車土瓶などの物質性をめぐって-」をテーマとして、角南聡一郎氏が調査研究の成果を発表した。
角南聡一郎氏の発表は、「携帯食の民俗学」という発想を提案し、「弁当・携帯食」を日本における歴史や現状を考古学、博物館学、商品学などの学際的な視点からアプローチし、豊かな資料を駆使し、民俗学に収斂させようとした。角南氏の指摘によれば、出土考古資料の場合には、炭化した稲籾やおにぎりは自然遺物(ecofact)の類として、物質文化の一部とみなされているが、食品・料理は消えモノと呼ばれ、民具研究/物質文化研究の対象に含まれず、一般的には食器や調理用具がその対象となっている。「携帯食」を研究する上で、重要な資料として、近現代の弁当箱、弁当掛け紙や汽車土瓶などは、今や博物館資料となり鉄道ファンのみならず広く注目と人気を集めている。今回の研究発表では人の移動に伴う食である携帯食に着目し、弁当箱や汽車土瓶などの物質性を検討する中で、物質としての食品や料理と物質文化研究の接点を明らかにしたと言える。日本のみならず、東アジア、さらに世界へ視野を広げて、「携帯食」を捉えようとする氏の姿勢は印象的である。
(文責:周星)