展示
神奈川大学展示ホール

日本常民文化研究所は「海」の視点から日本文化をとらえる重要性に早くから着目してきました。
企画展示室「和船の構造と技術」では、弁才船を中心とした和船の特徴を、船舶模型・船大工道具などの資料とパネルで紹介します。
[会場]神奈川大学横浜キャンパス3号館展示ホール
[開館]月~土曜日 10:00~17:00※入館は16:30迄
[休館]日曜日・祝日、大学所定の休日、
授業以外の土曜日
神奈川大学 日本常民文化研究所 展示室

日本常民文化研究所は1921年渋沢敬三により創設されて以来、民具の収集・分類・古文書の収集・整理、漁業史研究など、日本常民社会の多様な領域を対象とし、他に類を見ない独創的業績を上げてきました。
1982年大学の付属研究所として再出発した後も、伝統を受け継ぎつつ学際的・国際的研究センターとして一層の発展を見せています。この展示室ではその先駆的活動の歴史と今後の展望を探ります。
展示は「渋沢敬三とアチックミューゼアム」、「アチックミューゼアムに集う人々」、「アチックミューゼアムの活動」、「アチックミューゼアムから財団法人日本常民文化研究所へ」、「神奈川大学日本常民文化研究所としての再生」、「歴史民俗資料学研究科の創設」「学際的・国際的なひろがり」のコーナーへと進みます。
収蔵資料「仕事着のひな形」
会場の入り口。ガラスケースに展示されています
5分の1サイズで作成された仕事着
各地域のハカマやモンペ、モモヒキ
チャンチャンコ、ソデナシ
収蔵資料「仕事着のひな形」を展示公開いたしました。
この資料は、昭和の農村・漁村で着用されていた仕事着を5分の1の寸法に仕立てたひな形です。
研究所では1980年代に仕事着の全国調査を行い、2冊の報告書を刊行しています。その中から約150点を、仕事着のひな形として白石ナツ子さんに復元していただきました。
着物を小さく仕立てるためには、技術を凝縮する必要があります。そして、それは人々を魅了するちからを持っています。かつては多くの女性の腕に備わっていた暮らしの中の裁縫技術をご紹介しています。

企画展示室 企画展「和船の構造と技術」

右から鎌倉時代の廻船、菱垣廻船、中国船(各10分の1模型)
江戸時代、国内の物資輸送は弁才船を中心とする廻船によって担われていました。弁才船の中で千石 (150トン)の荷物を積むことが出来る大型船は千石船といわれ、和船の代表とみなされました。和船は中国船や西洋船とは異なる構造で、造船方法や船大工道具もそれに応じた独特のものが使われています。また、弁才船の帆装は大きな一枚帆が特徴で、近年復元船の帆走実験が行われ、すぐれた帆走性能が明らかとなっています。
本展では弁才船を中心とした和船の特徴を、船舶模型・船大工道具などの資料とわかりやすいパネルで紹介します。
また、地下1階ロビーには近藤友一郎氏が制作した100石(15トン)積弁才船の実物大部分復元模型が展示されています。
会場の入り口
パネル展示
船絵馬(青森県円覚寺蔵・写真パネル)
左から中国船、菱垣廻船、鎌倉時代の廻船
(各10分の1模型)
左:和船の船大工道具 右:中国船の船大工道具
弁才船の断面
100石(約15トン)積の弁才船実物大模型
江戸時代の設計図をもとに帆柱部分を実物大で復元
近藤友一郎氏
昭和3年(1928)、焼津(静岡県)にある近藤造船所、二代目船大工の父・佐吉の長男として誕生した。15歳で焼津造船所に船大工見習いとして入社、29歳で独立し近藤造船所を再興。静岡県相良町大江八幡宮の船祭で見た弁財船の模型の精巧な造船手法に感動し、伝統的な和船模型の製作を志す。平成元年(1989)、近藤和船研究所を設立。和船模型の製作、展示とともに関連資料の調査・収集を行なう。平成16年(2004)、「現代の名工」に選出され「卓越技能章」受賞、2年後「黄綬褒章」を受賞。満79歳にて逝去。