神奈川大学日本常民文化研究所

講座と展示

常民文化ミュージアム

神奈川大学ミュージアムコモンズ

 神奈川大学ミュージアムコモンズは、3つの展示室(大学史展示室、常民文化ミュージアム、企画展示室)、学習スペース、多目的に利用できるラウンジの3つのゾーンで構成されるスペースとなっています。このエリア全体を「ミュージアムコモンズ」、ラウンジを創立者の名を冠した「米田吉盛記念ラウンジ」と名付け、展示を中心とした大学の歴史や研究成果の発信の場、それらを活用した学生や地域に開かれた学習・交流の場として活用します。

[会場]神奈川大学横浜キャンパス 3号館1階
[開室時間]月曜日~土曜日(ただし土曜日は授業期間のみ/3月30日は開室)10:00~17:00
[閉室日]日曜日、祝日(授業日を除く)、大学所定の休日、授業期間外(2024年2月3日~3月23日)の土曜日、3月15日は臨時閉室
※臨時の開室・閉室等がありますので詳細は下記の【開館カレンダー】をご覧ください。

常民文化ミュージアム

常民文化ミュージアムの入口。「日本常民文化研究所
の歴史」のパネルを展示

 日本常民文化研究所は1921年に渋沢敬三により創設されて以来、民具の収集・分類、古文書の収集・整理、漁業史研究など、日本常民社会の多様な領域を対象とし、他に類を見ない独創的業績を上げてきました。
 1982年大学の付置研究所として再出発した後も、伝統を受け継ぎつつ学際的・国際的研究センターとして一層の発展を見せています。
 このたび展示室をリニューアルし、「常民文化ミュージアム」として公開をはじめました。
 あらたな展示は、研究所を紹介する「常民文化へのアプローチ」にはじまり、「海のくらしと知恵」「布とくらし」「生活の記録」の4つのコーナーに分かれています。また、床面には研究所が出版してきた生活文化にまつわる資料集の対象となった地域を示した日本地図、外壁面には、常民研が歩んできた100年の歴史年表があります。

常設展示

  • 常民文化へのアプローチ
  • 海のくらしと知恵
  • 布とくらし
  • 生活の記録

収蔵資料展示

緊急収蔵品展 奥能登の歴史と日本常民文化研究所 
2024年3月5日(火)~5月31日(金)

  • 漁場境界図面控 明治10(1877)年以降
  • 漁業制度資料目録(石川県)1950年ごろ

 本年1月1日に発災した令和6年能登半島地震により犠牲となられた方々に心よりお悔み申し上げるとともに、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
 日本常民文化研究所は、長年にわたり奥能登地域の豊かな歴史・文化について調査・研究を行ってまいりました。そしてその過程で数多くの能登地域の皆様の温かいご援助、ご協力をいただいてまいりました。
 そのようななかで研究所が能登の皆様のご恩にお返しできることは、研究所にこれまで蓄積された調査・研究成果の整理を進め、関係各所と連携しながら、被災史料の保全や地域の復興に必要な歴史情報が提供できるように努めることと考えております。
 そこでこのたび緊急収蔵品展として「奥能登の歴史と日本常民文化研究所」を開催することといたしました。これまでの研究成果を皆様にお示しし、能登地域の歴史や文化へのご関心を改めて深めていただけますと幸いです。

企画展「神大生の部屋—日本常民文化研究所による神大生の研究—」

会期:2024年3月19日(火)~5月11日(土)
会場:企画展示室 ※観覧無料

  • 企画展「神大生の部屋」の入口
  • 製作委員の学生による手書きの壁面イラスト
  • 「スマホ以前の事」のディスプレイ
  • ポスター

「神大生の部屋へ、ようこそ」

 常民研が研究対象とする「常民」に現代の大学生を含めたら、さてどうなるだろうという前代未聞の実験的な企画展です。名づけて「神大生の部屋」、現役の神大生といっしょに作りました。
 常民研は道具に注目してきましたから、ここでも、神大生の持ち物に光を当てます。バッグやリュックに何を入れて大学にやって来るのか。広報誌『神大スタイル』を手掛かりに、過去の神大生たちにも目を向けました。現代では、もはやスマホなくして大学生活は送れない。大学による3年前の調査ですでに、スマホ所持率は98.3%です。スマホが神大生にとってどのような道具であるのか、それを手にしたことで暮らしや人間関係がどう変わったのかなどを振り返る部屋になっています。学生のコメントも加わり、日々変化するはずです。
 常民研らしく、「スマホ以前の事」というコーナーも作りました。もちろん、民俗学者柳田国男の『木綿以前の事』になぞらえて。スマホという小さな道具にどれだけたくさんの道具が入っているのか、一目瞭然です。

主催:日本常民文化研究所 国際日本学部歴史民俗学科
協力:企画政策部広報課

弁財船実物大部分復元模型 近藤友一郎氏製作

 横浜キャンパス3号館地下1階のロビーには、江戸時代から明治時代にかけて荷船として活躍した100石(約15トン)積弁財船帆船帆柱部分の実物大復元模型が展示されています。静岡県の船大工近藤友一郎氏の卓越した技術と研究によって、江戸時代の設計図をもとに製作されました。

帆船帆柱部分模型 断面前方

近藤友一郎氏

昭和3年(1928)、焼津(静岡県)にある近藤造船所、二代目船大工の父・佐吉の長男として誕生した。15歳で焼津造船所に船大工見習いとして入社、29歳で独立し近藤造船所を再興。静岡県相良町大江八幡宮の船祭で見た弁財船の模型の精巧な造船手法に感動し、伝統的な和船模型の製作を志す。平成元年(1989)、近藤和船研究所を設立。和船模型の製作、展示とともに関連資料の調査・収集を行なう。平成16年(2004)、「現代の名工」に選出され「卓越技能章」受賞、2年後「黄綬褒章」を受賞。満79歳にて逝去。