絵画資料デジタルコレクション
日本常民文化研究所が所蔵する絵画資料『四季耕作子供遊戯図巻』、『広島県下農具絵図』『山城丹波農具ノ図』『農具解説群馬県』『和歌山県西牟婁郡農具絵図面』『和歌山県日高郡農具絵図』、『絵引』原画をWebサイト上で閲覧できます。
【デジタル閲覧】
絵画資料は、おもにアチック・ミューゼアムで収集・模写されたものです。主要なものとしては、鯰絵、近世の農業・農具を知るための好資料として著名な『耕稼春秋』、明治13年(1880)成立の『農具絵図』、四季の耕作に加え、子供の遊びの風景と祭礼行事を描き込んだところに特色をもつ、元禄16年(1703)水賓和継筆『四季耕作子供遊戯図巻』などがあります。また、『絵巻物による日本常民生活絵引』編纂に伴い、おもに村田泥牛によって作成された、日本中世の絵巻物から常民の生活に関わるさまざまな場面を抜き書きし模写した原画約800点があります。ここでは代表的な画像を紹介します。
[画像データの利用について]
- 画像データの著作権は、神奈川大学日本常民文化研究所に属します。
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四季耕作子供遊戯図巻【デジタル閲覧】
縦はほぼ30㎝、横は約7.8m、紙本彩色の耕作図巻で、梅・桜やススキ・紅葉など季節の移ろいを示す要素を随所に配したカラフルな作品です。表紙部分は萌黄の絹地で題簽はなく、裏面は雲母引きに仕上げて、内容は正月の門付け万歳から羽根つき・凧揚げと子供の遊びで始まり、やがて種籾浸しから俵運びまでの稲作の1年が、子供の遊びをまじえながら展開します。短い跋文と「元禄十六年(1703)南呂(8月)上旬、水賓和継(印)」の署名があります。
農具絵図【デジタル閲覧】
『広島県下農具絵図』『山城丹波農具ノ図』『農具解説群馬県』『和歌山県西牟婁郡農具絵図面』『和歌山県日高郡農具絵図』の5冊を所蔵しています。これらは和紙に書かれ、もとの表紙の上にさらに厚手の表紙をつけて和綴じにしたもので、『広島県下農具絵図』『山城丹波農具ノ図』は彩色、他は墨画、墨書です。木下忠氏の「明治十三年調農具絵図の成り立ち—日本常民文化研究所本と岩瀬文庫本—」(『民具マンスリー』14巻11号1982)で愛知県の西尾市岩瀬文庫に所蔵されている同本を書写したものであると確認されています。
『絵引』原画【デジタル閲覧】
『絵引』とは、渋沢敬三の発案による「絵で引く辞書」で、絵巻物の場面から庶民の着物や履物、道具、しぐさなどを「抜き書き」したものを絵巻物の物語にとらわれずに再編集したものです。現在は『新版 絵巻物による日本常民生活絵引 全5巻』として平凡社から刊行されています。その原画は、民俗学者である橋浦泰雄および日本画家の村田泥牛により制作されました。800点以上が研究所に所蔵されています。
※「神奈川大学デジタルアーカイブ」で閲覧・検索可能です。
鯰絵
安政2年10月2日に起きた安政の大地震の後、江戸を中心に大量に出版されたナマズを題材に描かれた錦絵です。40点を所蔵しています。
漁場絵図(筆写稿本別置大型絵図)
筆写稿本は古文書の文字情報だけでなく、村絵図や漁場図など絵図の模写も行いました。多くの絵図は原稿用紙とともに該当箇所に綴じこまれています。しかし、一辺1mを超えるような大型の絵図もあり、それらは筆写稿本とは別置保管されています。その数は約90点です。
版本・稿本
祭魚洞文庫
祭魚洞とは渋沢敬三の雅号です。「祭魚」はカワウソを意味し、魚を捕らえてもすぐには食べずにおくという故事から、自らの書斎をカワウソの巣になぞらえて祭魚洞書屋としていたことに由来します。渋沢敬三は自らの蔵書や収集諸資料を、水産資料館(現在は国立研究開発法人水産研究・教育機構 中央水産研究所に統合)、国文学研究資料館、流通経済大学などに寄贈しましたが、財団法人日本常民文化研究所を経て神奈川大学へも一部が伝えられています。