神奈川大学日本常民文化研究所

研究所紹介

創立100周年記念



はじまりは屋根裏の博物館

アチック・ミューゼアム(1920年代後期) 目録番号:写4-1-7-2
日本常民文化研究所月島分室における古文書整理
(1950年代はじめ)
慶應義塾大学にて開催した第3回民具研究講座
(1976年)

 2021年、神奈川大学日本常民文化研究所は創立100周年を迎えました。
 研究所のはじまりは、渋沢敬三(1896〜1963)がまだ東京帝国大学の学生だった頃に、自宅の物置小屋の屋根裏に生物の標本や郷土玩具を友人たちと持ち寄ってつくった小さな博物館でした。大学卒業を間近にひかえた1921年の春、渋沢は友人たちと相談し、学問研究のための同好会「アチックミューゼアムソサエティ」を設立します。
 渋沢は、屋根裏という家の中の周縁的な空間で、本業の仕事の合間に余暇として行う学問を、世界の人類に貢献する本物の学問にしようとする情熱を持っていました。銀行ではたらく傍ら、渋沢は屋根裏の博物館=アチック・ミューゼアムを拠点にして普通の人々、すなわち常民の生活文化についての歴史学や民俗学の研究を行います。やがてアチック・ミューゼアムは屋根裏から飛び出して渋沢邸内の専用の建物となり、大学を卒業した若者を研究員として雇い、調査や資料収集・出版を行いました。
 アチック・ミューゼアムは、1942年に日本常民文化研究所と改称します。1963年の渋沢の没後、日本常民文化研究所は民間の研究機関として活動し続けましたが、1981年に神奈川大学に招かれて大学の付置施設となります。研究所を母体として、1993年には大学院教育を行う歴史民俗資料学研究科を開設しました。大学院で学んだ学生たちは、国内外の大学や博物館で研究を行っています。そして2020年には学部教育を行う国際日本学部歴史民俗学科を開設します。屋根裏から始まった研究所は、国内の研究者はもとより、海外の研究者とも交流を行い、さらには日本人のみならず留学生も受け入れて学ぶ研究教育機関に成長しました。

今後おこなわれる100周年記念事業

 神奈川大学日本常民文化研究所は2021年から2025年までの5年間にわたり、これまで成長の歴史を振り返るとともにさらに次の100年へと目指して、100周年を記念した常民文化研究講座・エクステンション講座や研究会の開催、100周年記念論集および所蔵資料に関連する書籍の刊行を計画しています。本ページにおいて、情報を随時発信します。