神奈川大学日本常民文化研究所

所蔵資料・図書

古文書



 本資料には、①研究所が所蔵する古文書類と②各地域で撮影した古文書写真(マイクロフィルム複写古文書)が含まれています。
 ①の研究所が所蔵する古文書類は、アチック・ミューゼアムの活動の中で収集されたもの、 「漁業制度資料調査保存事業」で収集されたもの、神奈川大学日本常民文化研究所が収集したものの三つがあります。その中には、中世文書を含む「二神司朗家文書」があり、「海の領主」として活動した二神氏の戦国期から近代までの活動の足跡が分かります。
 ②の各地域で撮影した古文書写真は、マイクロフィルムやデジタル写真で記録され、奥能登の「時国健太郎家文書」「池田周三家文書」等が含まれています。

※所蔵資料は「神奈川大学デジタルアーカイブ」で検索可能です。

①古文書

  • 二神司朗家文書
  • 永長栄三郎家文書

 研究所が所蔵する古文書類の収集経緯にはいくつかのものがあります。

A.アチック・ミューゼアム収集資料
 渋沢敬三は、現在のように地方文書が重要視されていなかった戦前期に常民の生活文化を知る格好の資料として地方文書に注目し、それらを収集して、翻刻・刊行をおこない、研究の素材を学界に提供しました。収集資料の多くは、現在の国文学研究資料館に収められていますが、一部神奈川大学日本常民文化研究所にも所蔵されています。

B.漁業制度資料(漁業制度資料調査保存事業収集)
 第二次大戦後に水産庁は全国の漁村の実態把握調査を1949年~1954年におこない、事業は財団法人となった日本常民文化研究所に委託されました。そこで収集されたものが「漁業制度資料」で、研究員が全国の漁業組合や旧家を訪問し直接資料を収集するという形ですすめられ、近世~近代の全国の漁業・漁村制度に関する約5万点の古文書と、それを筆写した約20万点の筆写稿本が収集されました(筆写稿本については「漁業制度資料:筆写稿本DB」を参照)。

C.神奈川大学日本常民文化研究所収集資料
 1982年に財団法人を解散し、研究所は神奈川大学の組織となり、それまでの事業も受け継ぎました。とくに漁業制度資料のうち借用したままになっている古文書を返却する仕事は大きなものでしたが、それがきっかけで、あらたに寄贈の申し出を受けたものがあります。研究所は「資料は地元で保存する」ことを原則と考えておりますが、それでも寄贈、寄託、購入などの形で受け入れた資料もあります。その代表的な資料群として中世・近世・近代の資料を含む二神家文書があります。なお、漁業制度資料にかかわる古文書返却の経緯については『古文書返却の旅』(網野善彦著・中公新書)に詳しく記されています。

②マイクロフィルム複写古文書 

 本研究所では、研究所の神奈川大学への招致以来、所員を中心にマイクロフィルムで撮影することによって各地の古文書などの資料収集を進めてきました。初期の段階では経費が潤沢でなかったこともあり、研究者の個人的興味により、抜粋して収集されるようなこともありました。そのため、収集した当事者しか活用できないような収集物もあります。
その後、収集に当たっては系統的に収集することを心がけ、収集者に限らず、一般の研究者にも十分活用できるような収集資料となっております。公開を前提として収集された資料ではありませんが、その後、原資料が災害や事故により滅失した資料もあり、今となっては資料のバックアップという意味でも有用なものとなっております。
 多くの収集資料は学術研究に活用してもよいとの認識のもとに撮影を許可されたものではありますが、撮影当時は一般に公開することまでは想定されていなかったものも多く含まれています。研究所としては、原資料所蔵者と協議し、資料公開の基準について確認書を取り交わす作業を進めております。

[ご利用について]

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