神奈川大学日本常民文化研究所

調査と研究

目的と概要



研究の主な内容

 現在、本研究所が進めている研究の主な内容は、下記のとおりです。

共同研究

 現在、本研究所では、以下の三つのカテゴリーを設定して学際的な共同研究を進めています。

A. 基幹共同研究

 本研究所の設立の理念にもとづき、中長期的展望のもと、先端的・学際的な共同研究を行います。研究所の所員が全体として取り組む研究活動として位置づけています。

「常民生活誌に関する総合的研究」の推進

 本研究所の基幹共同研究は、現在「常民生活誌に関する総合的研究」として取り組みを始めています。衣食住を中心とした日常生活をテーマに、歴史や民俗を含めた幅広い観点から、現地調査によって得た諸資料を収集・整理し、研究を進めます。

B. 基盤共同研究

 本研究所の基本方針である博物館機能の強化につながる、所蔵資料をもとにした共同研究を行います。これにより、常民研以外の研究者にも広くひらかれた所蔵資料の研究資源化を増進します。これまで取り組んできた「地域の総合的な研究」もこのカテゴリーに含まれます。やはり中長期的な展望にもとづいた共同研究として位置づけています。

基盤共同研究「海域・海村の景観史に関する総合的研究」旧一ノ宮村(石川県羽咋市)の漁場図(常民研蔵)

C. 個別共同研究

 個別の課題にもとづき、中短期的展望のもと、将来の「基幹」「基盤」研究になり得る萌芽的共同研究として位置づけています。

研究成果の発信

 上記の研究の進展の様子は、WebサイトやSNSで適宜発信します。研究成果は資料集、調査報告、論文集として刊行、常民文化研究講座を始めとした研究会・シンポジウムを通して公開します。

民具研究

 『民具マンスリー』(月1回発行)の編集・刊行の基礎となる調査研究活動を推進しています。その際、地域史との関連を特に重視し、全国的に活発化しつつある民具研究の拠点として、その指標となるような研究を進めています。関連する企画として、常民文化研究講座の一環で年2~3回の「民具を語る」研究会を開催し、民具や地域博物館・資料館等をめぐる話題を中心に検討しています。

資料管理に関する研究

 古文書や民具は、それ自体としては「もの」にすぎません。それを歴史や文化を語らせるための資料とするためには、きちんとした方針のもとに整理し、記録し、保存しなければなりません。本研究所では、修復・保存の技術的問題も含めて、資料管理に関する全般的問題を検討しています。常民文化研究講座の一環で行われている「古文書修復実習」や本学生涯学習講座「古文書講読講座」等を開催しています。

古文書修復技術の習得を目的とした実習を実施

所蔵資料の研究資源化

 本研究所が所蔵する古文書などの地域資料を整理し目録集を継続的に発行しています。こうした目録整理により、広く社会に所蔵資料の公開を計るなど、地域史研究の推進を図っています。

アチック・ミューゼアムおよび常民研の活動状況に関する研究

 1921 年にアチックミューゼアムソサエティとしてはじまり、1925年以来アチック・ミューゼアムおよび日本常民文化研究所として継続してきた活動は、民俗学、民族学、民具研究、漁業史研究などの学問形成に深く関与しており、研究所の歴史そのものが研究対象といえます。こうした観点から、引き継いだ諸資料のほか各地に分散している関係資料の調査、研究を進めています。

● 本研究所は2021年で創立100周年をむかえました。そのため、2021年から25年までを100周年イヤーズと位置づけ、さまざまなイベントを企画しています。