神奈川大学日本常民文化研究所

所蔵資料・図書

民俗資料



 研究のために製作された製作資料と、実際に使用されていた民具である収集資料の2種類を民俗資料としています。

製作資料

研究テーマにあわせて製作された資料です。

鍛造品

鍛造品工程見本

 西日本と東日本を代表する土佐打刃物と三条刃物の職人に斧や鍬などを製作していただき、鍛造品の資料として収集しました。土佐打刃物は、昭和初期の宣伝広告に掲載されている刃物を復刻していただき、現在では製作が難しい大型の斧なども含まれています。また、製作技術の記録として工程見本の製作依頼をし、資料化しました。代表的な二つの地域の鍛造品を収集することで、日本の鉄加工の技術を研究できる資料群となっています。

仕事着のひな型

5 分の1に縮小し製作した仕事着

 昭和初期生まれの女性の方が、アチック写真や調査報告書『仕事着』の中から選んだ着物を、実際の5 分の1 の寸法に仕立てたものが、仕事着のひな型になります。小さく仕立てた着物には凝縮された裁縫技術が盛り込まれ、かつては多くの女性の腕に備わっていた暮らしの中の技術を記録した資料となります。また、農村・漁村でかつて着用していた仕事着にどのような種類があったのかを、学べる教材にもなっています。

和船模型

 船大工近藤友一郎氏の卓越した技術と研究によって製作された和船模型を収蔵しています。御座船から川船、磯船などの多様な和船模型があり、船を介して漁業史研究を推進するための重要な資料となっています。

収集資料

 実際に使用されていた民具で、農・漁・衣・信仰関係等の資料があります。
神奈川県津久井郡(現在の相模原市)の商家が所蔵していた民具は、家で使用していた生活道具と、雑貨として売られていた商品があり、学生の資料を扱う実習の有効教材として活用しています。

小絵馬

小絵馬

 東京・湯島にあった「祈願堂」は、絵馬研究で著名な岩井宏實氏の指導も受けて、昭和30年代頃より小絵馬を収集していました。「祈願堂」の閉館にともない研究所に約1000点の小絵馬が寄贈され、この資料をもとに2015年度より絵馬研究会を発足させ、民間信仰の研究を進めています。

小裂細工

小裂きりばめ細工の米袋

 かつて都市部の裕福な家の女性たちは、花嫁修業のひとつとして、着物に裁ったちりめん等の残り布を利用し、美しい袋物や小箱などをつくっていましたが、それを小裂細工と呼びます。研究所で所蔵している小裂細工は、米津為市郎氏が長年、「女の手の跡(手仕事)」を研究するために収集された資料です。時代は明治から昭和初期で、細工物を製作するための型紙も含まれる貴重な資料です。裁縫所のお師匠さんから技術を学んでつくられた小裂細工は、女性教育の始まりを研究する上でも重要な資料です。

衣関係

 一見するとゴミとも思えるボロ布の端裂、明治39年生まれの女性が、平成15年まで所持していたボロ布や雑巾などを資料として収集しました。ボロ布の端裂を用いて仕立てた約60点の雑巾については、布の来歴を調査し、布の歴史を記録化しました。この資料は、布を最後まで使い尽くす知恵やモノの終焉方法を研究できる資料として、また小裂細工とは対照的な、かつての庶民生活を記録する資料です。

[ご利用について]

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