神奈川大学日本常民文化研究所

研究所紹介

日本常民文化研究所とは



 日本常民文化研究所は、日本民衆の生活・文化・歴史を調査分析する研究センターとして先駆的活動を展開してきました。
 1921年、渋沢栄一の孫であり経済人の渋沢敬三により“アチックミューゼアムソサエティ” として創設されて以来、研究所の活動は、民具の収集・分類、古文書の収集・整理、漁業史研究など、日本常民社会の実に多様な領域を対象としてきました。1982 年に神奈川大学に招致され、現在も、歴史と民俗文化の学際的共同研究機関として事業を続けています。
 2021年でちょうど100年の節目をむかえました。渋沢敬三の「ハーモニアスデヴェロープメント」の精神を受け継ぎ、能登半島や瀬戸内海島嶼、三陸沿岸等の地域調査や『民具マンスリー』の刊行、各種研究会・講座・シンポジウムの開催等、開かれた研究所として学内外の研究者にも研究交流の機会を提供してきました。

博物館相当施設指定

  • 常民文化ミュージアム プロローグ
  • 館内全景

 本研究所は、2023年3月に博物館法第29条に基づく「博物館に相当する施設」として指定されました。横浜キャンパス3号館1階に「常民文化ミュージアム」がリニューアルオープンしています。

学内関連機関との連携

 日本常民文化研究所は、その理念にもとづき1993年に開設された大学院歴史民俗資料学研究科の調査実習や1985年以来開講している本学の学芸員課程において協力関係をもち、今日までに、多くの博物館や資料保存機関等へ人材を送り出してきました。さらに、2008年に、非文字資料研究センターが「非文字資料」の体系化をめざして、付置研究センターとして発足しています。このような過程を経て、2020年度から国際日本学部歴史民俗学科が開学しました。
 今後は、横浜キャンパス3号館1階に開設された「常民文化ミュージアム」の運用をもとに、博物館の機能をより一層推進していきます。

活動の概要

1.研究成果の公開

 所員を中心とした調査研究の成果は、各種刊行物(論集・叢書・調査目録・調査報告等)・講座・研究会他のかたちで、広く公開しています。Webサイトでも各種データベースや新しい情報などを随時公開しています。

2.資料の収集と研究・公開

 フィールド調査において調査対象とした資史料を撮影等の手段によって収集し、必要に応じて整理・目録化をおこなっています。資料所蔵者の方々のご理解・ご協力のもとに、当該資料を確実に後世に伝え、将来の研究において有効に活用するための基盤を作る作業です。また、研究所で所蔵・管理している資料群の整理・分析も順次進めています。

3.研究会活動

 1983 年以来、所員相互の検証・批判を経た研究成果を共有するための場として、公開研究会を開催しています。所員・研究員のほか、所外の研究者にも報告を依頼し、研究水準の向上を図っています。年数回、公開の形で実施しており、開催回数は125回(2021年4月現在)となりました。

4. 非文字資料研究センター

「チョコレートと兵隊」戦意高揚紙芝居コレクション
(非文字資料研究センター所蔵)

 神奈川大学21 世紀COEプログラム「人類文化研究のための非文字資料の体系化」の5 年間の研究事業を継承・発展させる組織として神奈川大学日本常民文化研究所に付置されました。文字以外の人間諸活動の表現形態を対象に調査研究、資料収集をおこない、世界に発信することを目的としています。

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国際常民文化研究機構(2022年3月31日終了)

共同研究(一般)「台湾の「海女(ハイルー)」に関する
民族誌的研究—東アジア・環太平洋地域の海女研究構築を
目指して—」撮影/沈得隆氏

 本研究所を母体とした共同利用・共同研究拠点(認定期間2009年7月~2020年3月)として発足しました。グローバル化のなかにあって、等身大の生活文化を総合的に調査・研究・分析する方法論の確立を目指し多文化共生の道を探るべく、本研究所の所蔵する史資料とデータベースを広く学外の研究者に公開・共有化し学際的な共同研究を進めてきましたが、2022年3月31日をもって13年間にわたる事業を終了しました。

活動報告については、『神奈川大学日本常民文化研究所 年報』をご覧ください。