展示情報一覧
2024年度企画展「国境を越える民族のアイデンティティー ~ヤオ族の儀礼と神像画~」企画展示室(2024年9月9日~10月31日)
展示を語る 廣田律子所員
この度、100年にわたり日本民衆の生活・文化・歴史を調査・分析する活動を展開してきた日本常民文化研究所と、ヤオ文化の世界的研究拠点のヤオ族文化研究所の共同開催により、ヤオの神像画の展示が実現しました。
ヤオ族文化研究所が所蔵するヤオの神像画は、国内はもとより世界でも有数の質と量を誇ります。ヤオの神像画を多数同時に見ることができる展示は国内では先例がありません。神像画を通してヤオの文化の人類文化としての価値を認知していただくことで、社会の変化により継承が難しい状況にあるヤオ文化の次世代への保存・活用・継承に寄与することに繫がれば幸いです。
主催:一般社団法人ヤオ族文化研究所・神奈川大学日本常民文化研究所
■関連事業
神奈川大学2024年度国際交流事業 国際シンポジウム
「ヤオの多面性と統一性」
日時:2024年10月11日(金)9:10~18:30、10月12日(土)8:50~18:30
会場:神奈川大学 みなとみらいキャンパス 1階 米田吉盛記念ホール
ミュージアムトーク
ヤオ族文化研究所所長 廣田律子(神奈川大学 教授 本研究所 所員)先生より、解説パネルではお伝えできない資料にまつわる生の声をお届けしました。
開催日時:2024年10月26日(土)13:30~14:30、10月27日(日)13:30~14:30
緊急パネル展 奥能登の文化財を守る—被災文化財の現在
横浜キャンパス3号館1階(2024年6月24日~7月5日)
みなとみらいキャンパス1階エントランスホール(2024年7月9日~22日)
日本常民文化研究所は、長年にわたり奥能登地域の歴史・文化について調査・研究を行い、多くの成果につながりました。またその過程で、たくさんの奥能登地域の皆様のご援助、ご協力をいただいてまいりました。
そのような中、2024年1月1日に巨大な地震が能登半島を襲いました。
とくに新聞にも報道された重要文化財の時国家住宅や角海家住宅の無残な姿は、長年そのお宅に通い、民具、古文書などの資料を整理し学んできた私たちにとり、大きな衝撃でした。
そこで本研究所では、4月19日から4日間、輪島を中心とした地域へ赴き、とくに文化財の被災状況を目の当たりにしてきました。
本写真展では、奥能登の豊かな歴史と文化が大地震により被災している現状と、今後の地域の復興にとって文化財が大切な存在であることをお示しし、多くの皆様と共有したいと思っております。
2024年6月 神奈川大学日本常民文化研究所
収蔵資料展示 緊急収蔵品展 奥能登の歴史と日本常民文化研究所
(2024年3月5日~5月31日)
2024年1月1日に発災した令和6年能登半島地震により犠牲となられた方々に心よりお悔み申し上げるとともに、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
日本常民文化研究所は、長年にわたり奥能登地域の豊かな歴史・文化について調査・研究を行ってまいりました。そしてその過程で数多くの能登地域の皆様の温かいご援助、ご協力をいただいてまいりました。
そのようななかで研究所が能登の皆様のご恩にお返しできることは、研究所にこれまで蓄積された調査・研究成果の整理を進め、関係各所と連携しながら、被災史料の保全や地域の復興に必要な歴史情報が提供できるように努めることと考えております。
そこでこのたび緊急収蔵品展として「奥能登の歴史と日本常民文化研究所」を開催することといたしました。これまでの研究成果を皆様にお示しし、能登地域の歴史や文化へのご関心を改めて深めていただけますと幸いです。
企画展「神大生の部屋—日本常民文化研究所による神大生の研究—」
企画展示室(2024年3月19日~5月11日)
「神大生の部屋へ、ようこそ」
常民研が研究対象とする「常民」に現代の大学生を含めたら、さてどうなるだろうという前代未聞の実験的な企画展です。名づけて「神大生の部屋」、現役の神大生といっしょに作りました。
常民研は道具に注目してきましたから、ここでも、神大生の持ち物に光を当てます。バッグやリュックに何を入れて大学にやって来るのか。広報誌『神大スタイル』を手掛かりに、過去の神大生たちにも目を向けました。現代では、もはやスマホなくして大学生活は送れない。大学による3年前の調査ですでに、スマホ所持率は98.3%です。スマホが神大生にとってどのような道具であるのか、それを手にしたことで暮らしや人間関係がどう変わったのかなどを振り返る部屋になっています。学生のコメントも加わり、日々変化するはずです。
常民研らしく、「スマホ以前の事」というコーナーも作りました。もちろん、民俗学者柳田国男の『木綿以前の事』になぞらえて。スマホという小さな道具にどれだけたくさんの道具が入っているのか、一目瞭然です。
主催:日本常民文化研究所 国際日本学部歴史民俗学科
協力:企画政策部広報課
弁財船実物大部分復元模型 近藤友一郎氏製作
横浜キャンパス3号館地下1階(2013年~2024年3月19日)
江戸時代から明治時代にかけて荷船として活躍した100石(約15トン)積弁財船帆船帆柱部分の実物大復元模型を展示しました。静岡県の船大工近藤友一郎氏の卓越した技術と研究によって、江戸時代の設計図をもとに製作されました。
近藤友一郎氏
昭和3年(1928)、焼津(静岡県)にある近藤造船所、二代目船大工の父・佐吉の長男として誕生した。15歳で焼津造船所に船大工見習いとして入社、29歳で独立し近藤造船所を再興。静岡県相良町大江八幡宮の船祭で見た弁財船の模型の精巧な造船手法に感動し、伝統的な和船模型の製作を志す。平成元年(1989)、近藤和船研究所を設立。和船模型の製作、展示とともに関連資料の調査・収集を行なう。平成16年(2004)、「現代の名工」に選出され「卓越技能章」受賞、2年後「黄綬褒章」を受賞。満79歳にて逝去。
シンポジウム「生活世界の史料学」関連展示 渋沢敬三が集めた暮らしの史料 (2023年11月8日~2024年2月16日)
この展示では、本研究所が所蔵する渋沢敬三が収集した江戸時代~明治時代の古文書・古記録のなかから、さまざまな生業、出産・育児、人身売買など当時の人々の暮らしの一端を知ることができる史料を展示しました。
渋沢敬三が日本常民文化研究所の前身であるアチック・ミューゼアムを主宰した当時、歴史研究では政治史や制度史の追求が主流であり、一般の人びとの暮らしに目を向ける研究は多くありませんでした。そのようななか渋沢敬三は、地域の暮らしに即して遺された膨大な古文書の存在に可能性を見出し、数多くを収集し、またそれらを活字本として刊行し、広く活用されることを望みました。
これらの古文書が、私たちの日常の暮らしに生じているさまざまな問題を歴史的視点から考えるヒントになれば幸いです。
なお、シンポジウム「生活世界の史料学」は2023年12月9日(土)に開催されました。多数ご参加いただきありがとうございました。
2023年度 企画展「布と衣。刺し子」渡部つとむコレクション
企画展示室(2023年10月11日~11月5日)
博物館相当施設「神奈川大学日本常民文化研究所」常民文化ミュージアムでは、正式オープン後初の企画展として「布と衣」を開催します。この企画展は、2020 年より3カ年計画で取得した「渡部つとむコレクション」の中から「刺し子」を中心に紹介するものです。その一部は2021年に横浜市歴史博物館と共同開催した「布 うつくしき日本の手仕事」において展示され、好評を得たものです。今回は山形県庄内地方、青森県津軽地方および南部地方の刺し子が用いられた着物および仕事着を、限られた展示スペースですが、できるだけ多くの資料を紹介いたしました。
収蔵資料展示「湯たんぽ」(2023年7月3日~10月14日)
神奈川県津久井郡城山町(現相模原市)の雑貨屋「中西商店」にて、昭和30~50年代頃に販売されていた「湯たんぽ」を中心に収蔵資料展を開催しております。
冬の寒い時にふとんの足元に入れる「湯たんぽ」というと、楕円の波付きデザインが思い浮かぶのではないでしょうか。今回の展示では、この波付きのデザインがどのように登場したのかを追いながら、現在でも私たちのくらしで用いられている「湯たんぽ」を考える機会としております。
「海洋都市横浜 うみ博 2023~見て、触れて、感じる 海と日本PROJECT~」
和船模型展示・ワークショップ
横浜市役所アトリウム(2023年8月5日~8月6日)
「海洋都市横浜 うみ博 2023」は、猛暑のなか昨年に引き続き横浜市役所1階アトリウムをメイン会場として行われました。日本常民文化研究所では、所蔵する近藤友一郎氏作成の大型和船模型(菱垣廻船および鎌倉時代廻船)と中国・明清時代の廻船模型の計3点の展示を依頼され、会場の中央に配置されました。模型の組み立てにあたっては、これまで通り所員の昆政明研究室が主宰する和船研究会のご協力をいただきました。また例年実施しているワークショップ「折紙で帆掛け船をつくろう」もアトリウム内ワークショップスペースで行われました。
「海洋都市横浜 うみ博 2022~見て、触れて、感じる 海と日本PROJECT~」 和船模型展示・ワークショップ・ステージプログラム 横浜市役所アトリウム(2022年8月6日~8月7日)
新築の横浜市役所アトリウムで開催された「海洋都市横浜 うみ博 2022~見て、触れて、感じる 海と日本PROJECT~」に、近藤友一郎氏が作成した大型和船模型2点と中国で作成した明清時代の廻船模型の3点を、会場の中央に出展しました。また、ステージプログラムとしてクイズ形式の「楽しく学ぼう!海・船・港」、ワークショップ「折り紙で帆掛け船をつくろう」を開催し、多数の方々にご参加いただきました。
企画展「布 うつくしき日本の手仕事」
横浜市歴史博物館(2021年7月17日~9月20日)
人々が日常のくらしで着る衣服は、江戸時代以降は木綿が、それ以前は様々な草や木が素材でした。時間と労力を費やして、草や木から繊維をとり、糸にして布を織る。その布から仕立てられた日常の着物には、暖かさや丈夫さといった実用性を高めるため、刺子(さしこ)や型染(かたぞめ)などの手仕事の技が施されました。なかでも東北地方で生まれた「こぎん」や「菱刺(ひしざし)」の美しさは国内外で高く評価されています。
横浜市歴史博物館、神奈川大学日本常民文化研究所が共同で開催する本展では、日本で伝統的に使われてきた草木を素材とした布と、主に東北地方で用いられた刺子や型染、また裂織(さきおり)などに注目し、うつくしく、こまやかな手仕事の世界を紹介しました。
東日本大震災から10年を経て、東北地方の豊かな布文化と実用の美を楽しんでいただけたら幸いです。
収蔵資料展「アチックの出版1934~1945」
(2020年4月1日~4月7日)
本展は収蔵資料展「アチックの出版1934~1945」と題し、戦前期のアチック・ミューゼアムで出版された書籍を展示した。
アチック・ミューゼアムは、常民の生活・文化の全体を研究するために、専門を異にする研究者による共同調査の実施、調査の記録のための写真や動画の活用、民具というモノ資料への着目、生活記録としての古文書の活用など、さまざまな手法の試みや資料収集を行った。
そのような活動や収集の報告のため、出版活動にも力を注いでいた。「アティックではウブな資料(論文はやらないつもり)を出版する計画で、今二、三とりかかって居ます」という渋沢敬三の言葉どおり、とくに戦前期は、1934年『小学生の調べたる上伊那川島村郷土史』を皮切りに、地域調査報告や研究旅行報告、近世古記録の校訂編纂・抜粋など、約15年間で100冊近くの本を出版した。
アチック・ミューゼアムの出版活動は、本屋で出さない本を出す、本の欲しい人はどんなことをしても探し出すものだ、という渋沢の考えのもと、積極的に売ることはせず、300冊前後を発行部数として直接の制作費を部数で割って定価としたという。当時としても安価で、装丁は簡素でしたが写真・図版・表など内容にはお金をかけたつくりだった。
本展では刊行物を以下のテーマごとに分類し展示した。
収蔵資料「大地震となまず絵」
(2019年10月1日~11月30日)
江戸時代末期の安政年間(1854~1860)は、黒船が来港して外国から相次いで開港を迫られるなど、日本は多難な状況下にありました。さらに全国各地で大きな地震が頻発し、なかでも安政2(1855)年10月2日午後10時ごろに、関東地方南部で発生したマグニチュード7クラスの地震は、安政江戸地震と呼ばれ、倒壊家屋1万5000戸以上、犠牲者1万人以上と推定されています。
そのようななか、江戸の町では風刺版画であるなまず絵が多数出回りました。地震の発生直後から出回ったなまず絵には、地震に関するうわさ話や社会批判などが、擬人化されたなまずとともにダジャレやユーモアをもって描かれており、江戸の庶民の間にまたたく間に広まりました。およそ2ヶ月の間に250種以上の作品が作られたといわれています。
本展では常民研が所蔵するなまず絵を紹介します。大地震を経験した江戸の庶民が、地震をどのようにとらえたか、地震による出来事に対する心情がどのようであったか、を感じていただきたいと思います。
企画展「和船・神奈川湊・横浜港」
神奈川大学展示ホール 企画展示室
(2019年3月26日~2020年4月7日)
2019年3月に企画展示室の一部展示替を行いました。企画展示室はこれまで、和船の構造と帆走技術を中心に展示してきましたが、入り口部分の展示パネルを和船の帆走技術から、横浜と和船の関わりに変更しました。展示タイトルも「和船・神奈川湊・横浜港」とし、近世の神奈川湊と近代以降の横浜港と船を取り上げました。
収蔵資料「旅のおみやげ」
神奈川大学展示ホール 神奈川大学日本常民文化研究所展示室
(2019年3月14日~9月30日)
全国各地には多様な郷土玩具がみられ、旅のおみやげとして親しまれてきました。ここでは日本常民文化研究所の所蔵資料の中から張り子、土人形、木工品といった小ぶりの郷土玩具を中心に展示しました。箱の意匠やしおりにもそれぞれ多様な特色や工夫がみられます。
「海洋都市横浜 うみ博2019」
うみ博 大さん橋ホール 神奈川大学ブース前
(2019年7月20日~7月21日)
横浜港・大さん橋において開催された「海洋都市横浜・うみ博2019」に、昨年に続き3回目の出展で、菱垣廻船、中国船の10分の1模型と三国丸(江戸時代後期に建造された和洋中の折衷型船)の20分の1模型を展示し、神奈川湊と横浜港についてのパネルも用意しました。
また、体験型イベントのワークショップ「折り紙で帆掛け船を作ろう!」も行われました。
神奈川大学展示ホール 企画展示室
企画展「和船の構造と技術」
(2017年1月12日~2019年3月19日)
江戸時代、国内の物資輸送は弁才船を中心とする廻船によって担われていました。弁才船の中で千石 (150トン)の荷物を積むことができる大型船は千石船といわれ、和船の代表とみなされました。和船は中国船や西洋船とは異なる構造で、造船方法や船大工道具もそれに応じた独特のものが使われています。また、弁才船の帆装は大きな一枚帆が特徴で、近年復元船の帆走実験が行われ、すぐれた帆走性能が明らかとなっています。
本展では弁才船を中心とした和船の特徴を、船舶模型・船大工道具などの資料とわかりやすいパネルで紹介しました。
神奈川大学展示ホール 神奈川大学日本常民文化研究所展示室
収蔵資料「小さな和船模型」
(2018年10月5日~2019年3月13日)
和船模型作りで現代の名工に選ばれた近藤友一郎氏の作品を展示しました。近藤氏の模型は独自の調査を基に船型を忠実に再現していることに特徴があります。
ここでは伝馬船、川舟、ペーロン船といった小型船を中心に紹介しました。隣接する企画展示室では、大きな一枚帆の弁財船をはじめとする大型船が展示され、あわせて見学し比較することができました。
神奈川大学展示ホール 神奈川大学日本常民文化研究所展示室
収蔵資料「小絵馬」
(2018年3月28日~10月4日)
絵馬とは、祈願や感謝の目的で神社や寺に奉納する板絵のことです。生きた馬の代わりに絵を描いて奉納したのが始まりといわれています。今回ご紹介している「小絵馬」は、民間信仰的な要素を強くもった吊懸形式の絵馬で、庶民の祈願の様相が具体的に描かれており、現代にもその願いが受け継がれています。
本資料は、絵馬研究で著名な岩井宏實氏の指導も受けて、東京・湯島にあった「祈願堂」の店主 羽田勇人氏により寄贈された約2,000点の小絵馬から、船の祈願、判じ物、干支などの8つのテーマを元に展示しました。
「海洋都市横浜 うみ博」
うみ博 大さん橋ホール 神奈川大学ブース前
(2018年7月21日~7月22日)
横浜港・大さん橋において開催された「海洋都市横浜・うみ博」に和船模型3点、中国船模型1点を出展しました。
「順風満帆 千石船」
日本常民文化研究所が所蔵する近藤和船研究所和船コレクションを展示し、和船の技術や和船によって生まれた交流を紹介しました。体験型イベントのワークショップ「折り紙で帆掛け船を作ろう!」も行われました。
神奈川大学展示ホール 神奈川大学日本常民文化研究所展示室
収蔵資料「仕事着のひな形」
(2017年9月29日~2018年3月27日)
収蔵資料「仕事着のひな形」は、昭和の農村・漁村で着用されていた仕事着を5分の1の寸法に仕立てたひな形です。
研究所では1980年代に仕事着の全国調査を行い、2冊の報告書を刊行しています。その中から約150点を、仕事着のひな形として白石ナツ子さんに復元していただきました。
着物を小さく仕立てるためには、技術を凝縮する必要があります。そして、それは人々を魅了するちからを持っています。かつては多くの女性の腕に備わっていた暮らしの中の裁縫技術をご紹介しました。
「海洋都市横浜 うみ博」
うみ博 大さん橋ホール 神奈川大学ブース
(2017年8月5日~8月6日)
横浜港・大さん橋において開催された「海洋都市横浜・うみ博」に、船模型3点を出品いたしました。
「和船の10分の1模型 順風満帆 千石船」
日本常民文化研究所が所蔵する近藤和船研究所和船模型コレクションを展示。和船の技術や和船によって生まれた交流を紹介しました。
神奈川大学展示ホール 企画展示室
横浜市歴史博物館・神奈川大学日本常民文化研究所主催展覧会
「和船と海運」
神奈川大学会場「順風満帆 千石船 —和船の構造と技術—」
(2017年1月30日~3月17日)
江戸時代、国内の物資輸送は弁才船を中心とする廻船によって担われていました。弁才船の中で千石 (150トン)の荷物を積むことが出来る大型船は千石船といわれ、和船の代表とみなされました。和船は中国船や西洋船とは異なる構造で、造船方法や船大工道具もそれに応じた独特のものが使われています。また、弁才船の帆装は大きな一枚帆が特徴で、近年復元船の帆走実験が行われ、すぐれた帆走性能が明らかとなっています。
本展では弁才船を中心とした和船の特徴を、船舶模型・船大工道具などの資料とわかりやすいパネルで紹介しました。
神奈川大学展示ホール 企画展示室
企画展「近藤友一郎和船模型の世界」
(2014年3月25日~2017年1月16日)
本企画展では神奈川大学が所蔵する「近藤和船研究所コレクション」を紹介しました。船大工近藤友一郎氏の卓越した技術と研究によって制作された和船模型をとおして、船を介した海との関わりの重要性を考えます。展示は「パネルによる近藤友一郎氏とその業績に関する紹介」、「船大工の道具を中心とした船作りのコーナー」、「模型の展示」で構成されています。企画展示室は約70平方メートル。展示資料は船舶模型14 点をはじめ、船大工道具などおよそ400 点です。
神奈川大学展示ホール 神奈川大学日本常民文化研究所展示室
(2014年3月25日~2020年4月7日)
2014年3月25日、横浜キャンパス新棟(3号館)に「神奈川大学展示ホール」が新設されました。同ホールは、「創設者・神奈川大学史展示室」「神奈川大学日本常民文化研究所展示室」「企画展示室」から構成されるミュージアム機能を備えた公開施設です。
日本常民文化研究所は「海」の視点から日本文化をとらえる重要性に早くから着目してきました。日本常民文化研究所展示室では、本研究所の活動の歴史と今後の展望をパネルで表現するとともに、収蔵資料を紹介しました。パネル展示は、アチック・ミューゼアムから始まり神奈川大学日本常民文化研究所として現在に至る活動の足跡を、おもに研究の展開と人物紹介を中心としたものです。
収蔵資料ケース展示では研究所の収蔵資料を紹介し、前期・後期の年2回展示替えを行いました。
第7回 「町をつくる 人をつくる—祭礼・年中行事そして町並み—」
(2009年10月27日~11月26日)
町づくりは道路や橋、建物をつくることだけではありません。神奈川大学日本常民文化研究所や工学部の町づくり研究所では日本の各地で、町の歴史、自然、祭礼などの伝統行事、そして町並みを生かして町を元気にするお手伝いをしてきました。今回の展示では、平戸及び壱岐(長崎県)、江津(島根県)、中山道鵜沼宿(岐阜県)、松代町(長野県)、長井市(山形県)等で行われている町づくりの実践を、写真パネルを中心にして紹介いたしました。
第6回 「版本挿絵のウソ・ホント—絵画資料の資料学—」展
(2008年12月2日~26日)
近世の木版印刷物=版本の挿絵は、中国や朝鮮半島のそれと比べて抜群の写実性の高さを誇っていますが、史料として扱うには、意外な落とし穴と同時に予期せぬ絵師のこだわりも見えてきます。絵の間違いにはある傾向性や法則性があり、その知識を整理すれば、版本挿絵を資料として扱う際の指針となると考えられます。「絵画資料の資料学」形成途上の姿を見ていただくことにしました。
COE実験展示 あるく-身体の記憶—
2007年11月1日(木)~30日(金)
2008年2月23日(土)~2月24日(日)
第5回 「巻物の伝える世界-職人・由緒・儀礼-」
(2006年10月25日~12月15日)
主催 「職人巻物の世界」実行委員会
共催 福島県只見町教育委員会・福島県立博物館
職人とは、専門的な技術を身に付け特別な作業を行なう人々のことを指します。ことに奥会津地方における職人は、親方と呼ばれる職人集団の長に弟子入りして技術を習得し、一人前となったあかつきには、親方からその証として巻物が伝授されます。この親方から弟子へと職人が受け継いできた文書を職人巻物といいます。
職人巻物を受け継いで生きた職種は、山先(猟師)・番匠(大工)・屋根葺き・元山(杣)・小笠原流・商人・石工・船大工・鉱山師と数多くの職種で受け継がれています。職人巻物には、職の由来・儀礼における式次第・職に関わるまじないや技術、そして巻物の伝授記録となる系譜等が記されており、受け継がれた職人以外は見ることさえ禁じられた巻物もあります。職人巻物は、上棟式や山入りの儀礼の中で使用されることで、職人ばかりではなく、それ以外の人々にも深く溶け込んでおり、現在でもそれを見ることができます。
今回の展示では、奥会津地方における職人巻物を中心に、文書・民俗・民具を複合的に展示し、奥会津地方の職人たちが守ってきた心や技の一端を紹介しました。
第4回「映像でつづる昭和初期の日本-渋沢フィルムの世界-」
(2005年11月18日~30日)
澁澤敬三やアチックミューゼアムの同人たちは、調査旅行の折にカメラを携帯し、多数の写真を撮影しました。この企画展では昭和初期(1930年代)に澁澤敬三たちが撮影したスチール写真から、秋田県男鹿寒風山、新潟県越後三面などの、田植えや脱穀を手伝う子供、綿入れを着てスキーや凧揚げをして遊ぶ子供等、1930年代の子供たちの姿を約180点紹介しました。
また澁澤らは、当時はまだ珍しかった16ミリカメラで30本ほどの貴重な映像も残しています。今回はそのうち9本を選び25分のダイジェスト版を作成し上映しました。
第3回「鍛造の世界-鉄をきたえ意志をふきこむ-」
(2004年10月26日~12月21日)
展示した資料は200点ほどの鉄製の農具、刃物類が中心ですが、テーマは道具そのものよりも鍛造という技術の世界です。鉄は熱を加えられ打たれることで自在に形を変え、人の意志を反映させます。そこには地域性や時代性も読みとることができます。同時にレベルの高い一人の鍛冶職人の技のレパートリー、あるいは鍛造の工程とはどういうことなのか、そうしたことを具体的にモノを通して少しでも示してみたいと考えました。
第2回「ぬいもの・つくろいもの-暮らしの中の知恵と技わざ-」
(2003年10月21日(火)~12月22日(月)
この展示のテーマは、多くの女性の腕の中に備わっている布に対する知恵と技、そして心の中に秘められた布に対する想いです。この思いや技術は、現在60代半ば以上の女性の腕の中に眠ったままで、既製品や使い捨ての時代の流れに押されて忘れ去られようとしています。
今回の展示ではそのような知恵や技を、古い写真や図版をもとに実際の5分の1のサイズに仕立てた着物140点あまり、衣類としては機能しなくなった布を利用してつくられた雑巾60点などを中心に展示しました。
第1回「絵巻物から“辞書”をつくる-日本常民生活絵引の世界-」
(2002月10月1日~11月30日)
澁澤敬三の大きな業績のひとつである『絵巻物による日本常民生活絵引』(新版は平凡社から刊行)は、古代中世の絵巻物から当時の生活の実態が伺える部分をとりだし、分析、分類したものです。この事業にあたり、日本画家の村田泥牛によって、絵巻物からの抜き書き模写が800点以上作成されました。この展示ではこの模写絵を280点ほど展示し、研究者であるとともに学問の世界でのすぐれたオーガナイザーであり、後援者でもあった、澁澤敬三の姿勢や問題意識の一面を示してみようと企画しました。