神奈川大学日本常民文化研究所

研究所紹介

釜慶大学校海洋文化研究所(韓国)

※下記は国際常民文化研究機構Webサイトから転載したものです。

釜慶大学校人文社会科学研究所訪問・ミニシンポジウム

日程:2019年2月18日(月)~2月19日(火)
会場:神奈川大学横浜キャンパス日本常民文化研究所
参加者:内田青蔵(日本常民文化研究所所長)、小熊誠、昆政明、佐野賢治、安室知(所員)
 全京秀(客員研究員)

  • 孫東周氏、曺世鉉氏
  • シンポジウムの全体風景

 釜慶大学校とは、2009年に協定を結んでいる。当時における日本常民文化研究所所長であった佐野賢治先生と海洋文化研究所所長であった申明鎬賢先生との間で覚書が交わされている。しかし、その後、両研究所の間でほとんど交流が行われていなかった。昨年の2018年における第6回東アジア島嶼海洋文化フォーラムに、当時の釜慶大学校海洋文化研究所所長の孫東周教授が参加し、日本常民文化研究所との交流を進めたいという話になった。これを受けて、2019年2月に本学日本常民文化研究所に海洋文化研究所の一行が訪問することになり、そうであればミニシンポジウムを開催しようということとなった。 
 2019年2月18日は、夕方の午後4時頃に釜慶大学校から4名の先生方が日本常民文化研究所にいらした。現在は、釜慶大学校の人文韓国プラス事業団という組織になり、孫東周先生はその事業団長であり、その事業団に所属する海洋人文学研究所所長が曺世鉉先生、そのほか金文基先生と崔ミンギョン先生が参加した。まず、内田青蔵所長が関係の挨拶をし、その後、漁場図の紹介と解説を安室知先生が行った。さらに、別室に移動して、漁村の資料である筆写稿本の説明を越智信也氏が行った。それから3号館に移動し、日本常民文化研究所の常設展示と和船の企画展示を、小熊と昆政明先生によって解説した。日本常民文化研究所の資料等に、釜慶大学校の先生方は感心されていた。 
 翌日19日の朝に、日本常民文化研究所で釜慶大学校の一行と横澤勉副学長が両校の交流について意見交換をした。学長補佐として孫安石先生も参加され、その終了後、ミニシンポジウムが開催された。まず、このシンポジウムの挨拶を孫東周事業団長と内田所長が行った。まず発表の1人目は、金文基先生が「近世日本の『東醫寶鑑』における魚類知識の研究」で、『東醫寶鑑』は中国の本草学を受容しながら朝鮮の独創的な臨床医学と本草学を完成した本であるが、その「湯液篇」に28種類の魚が表記されている。魚名について、中国、朝鮮、日本で比較するが、必ずしも同じというわけではない。江戸時代に、12回通信使が朝鮮から日本に来ており、筆談で魚名についても貝原益軒や新井白石とも交流している。この交流で一定の成果があったが、限界も明確にあった。発表後の安室先生や昆先生との質疑応答で、魚名の比較研究は難しいということと、魚名からその民族の魚に対する考え方が見えてくるという内容の議論が行われた。2人目は昆先生から「日本と韓国の小型木造漁船」について、3人目は安室先生から「日本の海村における漁場をめぐる葛藤回避のメカニズム—漁場が図化されないことの意味—」が発表された。全京秀先生も踏まえて、それぞれ質疑応答が行われ、海洋研究を通して充実したミニシンポジウムが行われた。 
 最後に、釜慶大学校の人文韓国プラス事業団が、5月31日から6月1日にかけて第2回次世代育成大学院生フォーラムを国際的に行うことを紹介した。人文韓国プラス事業団から大学院生に参加支援も行うということで、歴史民俗資料学研究科から兪鳴奇さんが参加することになった。また、2019年12月の第7回東アジア島嶼海洋文化フォーラムは釜慶大学校で行われることになっており、日本常民文化研究所からも参加することを確約した。 
 これを機に、今後、釜慶大学校人文韓国プラス事業団に所属する人文社会科学研究所との積極的な交流を展開することが必要であることを参加者全員で確認したことを明らかにしておく。

(文責:小熊誠)

学術交流協定締結

日程:2009年12月25日(金)

 2009年12月25日、神奈川大学日本常民文化研究所・国際常民文化研究機構と、釜慶大学校海洋文化研究所は、常民文化研究に係る学術交流協定を締結いたしました。