神奈川大学日本常民文化研究所

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第5回「巻物の伝える世界-職人・由緒・儀礼-」
(2006年10月25日~12月15日)

主催:「職人巻物の世界」実行委員会
共催:福島県只見町教育委員会・福島県立博物館

 職人とは、専門的な技術を身に付け特別な作業を行なう人々のことを指します。ことに奥会津地方における職人は、親方と呼ばれる職人集団の長に弟子入りして技術を習得し、一人前となったあかつきには、親方からその証として巻物が伝授されます。この親方から弟子へと職人が受け継いできた文書を職人巻物といいます。
 職人巻物を受け継いで生きた職種は、山先(猟師)・番匠(大工)・屋根葺き・元山(杣)・小笠原流・商人・石工・船大工・鉱山師と数多くの職種で受け継がれています。職人巻物には、職の由来・儀礼における式次第・職に関わるまじないや技術、そして巻物の伝授記録となる系譜等が記されており、受け継がれた職人以外は見ることさえ禁じられた巻物もあります。職人巻物は、上棟式や山入りの儀礼の中で使用されることで、職人ばかりではなく、それ以外の人々にも深く溶け込んでおり、現在でもそれを見ることができます。
 今回の展示では、奥会津地方における職人巻物を中心に、文書・民俗・民具を複合的に展示し、奥会津地方の職人たちが守ってきた心や技の一端を紹介しました。