ATTIC MUSIUM

神奈川大学
日本常民文化研究所
Institute for the Study of Japanese Folk Culture Kanagawa University

講座と展示

第18回 常民文化研究講座「民具研究ワークショップ いまなぜ民具か?—実測・整理実務から地域博物館活動まで—」

第18回常民文化研究講座 民具研究ワークショップが開催されました(報告)


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【事業状況報告書の概要及び実施の効果】
2015年3月28日(土)、神奈川大学横浜キャンパス 1号館308-1会議室において第18回常民文化研究講座 民具研究ワークショップ「いまなぜ民具か?—実測・整理実務から地域博物館活動まで—」が開催された。
本ワークショップは2002年以来、休止している民具実測講座の再開の取り組みについて、その是非も含め少人数の民具関係者からじっくりと意見を聞こうとの意図から年度末にも拘らず設けられたが、蓋を開けてみると用意した会場が満室になるほどの盛況であり、よい意味で期待外れの開会となった。
まず所員・佐野による趣旨説明と「民具をとりまく現状」の発題を受け、地域における民具関係の博物館学芸員の立場から福島県立博物館専門員の佐々木長生氏が、「民具研究と民俗学一地方学芸員の民俗学研究法」、長年文化庁の主任調査官を務められた菊池健策氏が、「民具の保存と活用」について民俗文化財の側面を中心に現時点での問題点を指摘した。
ここで休憩に入り、この間を利用して3号館の近藤和船資料の参観が安室知所員の案内、解説で行われた。この後、民具の資料化の実務方面からの発表が、神奈川大学大学院で民具調査実習を長年担当されてきた石野律子氏「民具の調査と方法」、日本民具学会理事の宮本八恵子氏「民具の作図と資料化」と題し行われ、二人は豊富な現場体験を踏まえた実測図、見取り図を具体的に提示しながらそれぞれの特徴、有効性を論じた。
この後総合討論に入り、民具研究と地域博物館との連携、民具の地域振興に果たす具体的役割、アイヌ民具の復元に果たした民具実測図、民具の製作技術の伝承をどう確保するのかなど多方面からの質疑が出された。
今回は、開催の趣旨からもフロアーの意見を多く聞くことを心がけたが、アンケートの結果でも、「討議が良かったです。いい会でした。民具の活用の問題を取り上げて欲しい。常民研の仕事と実業の世界との関わりを考えています。純学問的研究が実社会とのかかわり、実世界の中に展開されていくところをもっと強調できないか考えています。ちょっとまとまりません。民具短信に投稿します」と内容を評価する記載がみられ、「民具の実測をする講座をお願いしたい」と民具実測講座の再開を期待する声など、主催の方向性を文字通り受け取ってくれた意見があった。
散会後、講師を囲んでの懇親会・交流会が福臨門で行われ、活発な意見が交わされた。民具実測講座の再開の是非についての意見を聞くということについての当初の目論見を越え、常民研に対する期待の高さを主催者として改めて感じた次第である。                  

(佐野賢治)