ATTIC MUSIUM

神奈川大学
日本常民文化研究所
Institute for the Study of Japanese Folk Culture Kanagawa University

講座と展示

第22回 常民文化研究講座・国際研究フォーラム 終了報告

「アジア民具研究の可能性—民具体系と生活構造の比較から—」

[第1日目]2018 年12月8日(土)10:00~17:00 神奈川大学横浜キャンパス 3号館305講堂
[第2日目]2018 年12月9日(日)10:00~15:00 神奈川大学横浜キャンパス 3号館205講堂


  • 第1日目/発表風景

  • 登壇者との集合写真

  • 第2日目/発表風景

  • 総合討論

 上記のテーマのもと、第22回常民文化研究講座が2018年12月8・9日(土・日)の両日、神奈川大学横浜キャンパス3号館に於いて開かれた。今回は、民具研究を主題にした過去3回のシンポジウム、「“モノ”語り—民具・物質文化からみる人類文化—」(2010.12.11・12)、「渋沢敬三の民具研究」(2013.11.9)、「渋沢敬三の資料学—日常史の構築—」(2014.3.9)で指摘された課題、地域における生活構造・民具体系の中での位置づけ、身体との関係性など民具を個別的に研究するのではなくその背景に注目し、さらに、そこに関わる民具の形態と機能、象徴性に焦点を当て、対象地域を東アジア(日・中・韓・台湾・東南アジア・極東ロシア)に定め、民具研究の可能性・有効性を論議する機会としとして開催された。
 はじめに川田順造・佐野賢治による対談「民具とは—道具の人間化・人間の道具化」が行われ、民具の定義から機能と用途、職人論、身体と道具、自然との適応から現代社会と民具、これからの民具研究などの話題が供され、現代社会における民具研究の意義づけが論じられた。
 その後、3つのセッション、Ⅰ生産生業と民俗技術、Ⅱ 民具誌から見る地域社会の生活構造、Ⅲ 民具の機能・形態・象徴、がそれぞれ、モデレータ:川野和昭で、大塚和義「アイヌ及び隣接する北方先住民にみる民具体系の諸相」、楊六金「国境地帯のハニ/アカの農耕用具の研究」、モデレータ:佐々木長生で、張正軍「民具から見る中国江南—農村の生活誌」、呉昌炫「韓日磯漁漁具の比較研究—広域体系から見たその変動と民俗文化論」、眞島俊一をモデレータに、金善子「中国における女神神話と少数民族を偶像化した語り—「網袋」と「縄」の象徴を焦点に」、野林厚志「新規性と保守性という観点から台湾原住民族の道具と行動の関係を考える」の発表が行われ、最後に、神野善治、山田昌久両氏の司会により総合討論が持たれた。今回は司会者も、モデレータとしてそれぞれの研究の立場を披露、日本国内の事例を紹介する役割を担った。
 参加者は関係学会、研究会が複数開催される中、のべ約130名を数えた。アンケートの記載でも、民具をアジア的視点から見る目、民具を群としてみる必要性がわかったなど開催趣旨を理解する文面が寄せられ、次回開催を期待する声もあり、また総合討論の時間まで残られた参加者も多く、今回のテーマ設定は、常民研の研究主題、民具をテーマにしたこともありおおむね好評だったといえる。今後とも、民具がminguとして国際化する機会を考えていきたい。

(佐野賢治)