ATTIC MUSIUM

神奈川大学
日本常民文化研究所
Institute for the Study of Japanese Folk Culture Kanagawa University

講座と展示

第20回 常民文化研究講座 民具を語る1           「細工物 女性の手仕事の周辺」(米津為市郎氏)終了報告

日 時:2016年6月20日(水)13:00~16:00
発表者:米津為市郎氏(日本民具学会会員 郷土玩具文化研究会会員) 
題 目:「細工物 女性の手仕事の周辺」

  • 講座風景
    講座風景
  • 米津為市郎氏
    米津為市郎氏

 研究所では、常民文化研究講座の前身の民具研究講座より、民具実測実習を行ってきましたが、2002年より一時中断し、2015年の民具研究ワークショップを経て、2016年度から「民具を語る」研究会として再出発することになりました。企画は、『民具マンスリー』編集部が行ない、研究会の報告を誌上に掲載、発表と公開の有機的な連携を図り、民具研究の現状と意義を紹介、論議する場を目指すことにしました。
 最初のテーマとして最も身近な衣生活・衣料を取り上げることにし、初回の発表者を名古屋の米津為市郎氏にお願いしました。米津さんは民具研究の先人、礒貝勇から「女性の手仕事」を残すように言われ、冠婚葬祭時にコメなどを入れる袋物を中心に収集、調査研究を50年余してきた人です。その大部な資料は丁寧に一点一点、写真を撮りアルバムにまとめられ、箱に詰められて研究所に寄贈されました。今回はその資料を前にして、氏から直接、資料の説明を受ける場として設けられました。
 端切れを巧みに組み合わせ歌舞伎に登場する人物や風景を造形する針仕事の見事さ。それは、姑から嫁へと女系で伝えられてきたといいます。本絵が裏打ち紙として残っている袋物のから清書した図柄を型紙として用いたこと、浮世絵と同じ製作法に連なることなど、興味深い話が米津さんから次々と披露されました。
 柳田国男は『妹の力』をはじめ女性の霊力を論じましたが、機織り、針仕事は生活を営む上で最も身近で具体的な女性の力でした。現代の機械生産された物を前にするとき、家族や恋人のために心を込めた手仕事によるモノづくりは別の感慨を呼び起こします。それが何か、女性が縫い上げた小裂細工を実際に手に取り、米津さんと語り合いながら考えるよい機会となりました。研究所ではいずれ、資料を整理し米津さんのお気持ちも汲んだ展示を開催したいと考えています。

(文責・佐野賢治)