第23回 常民文化研究講座「古文書修復実習」終了報告
初の「オンライン実習」を開催
日時:2021年3月8日(月)9:00~16:00
会場:Zoomミーティング
講師:関口博巨、白水智、山口悟史、中村慧、平田茉莉子
1997 年にスタートした古文書修復実習は、毎年、常民文化研究講座の一環として開催してきた。ところが、2020 年3 月に開催を予定していた古文書修復実習(2019年度事業)は、新型コロナウイルス感染症の流行による大学の入構禁止措置を受けて、開始以来はじめて、中止を余儀なくされた。コロナ禍はその後も収束の兆しをみせず、2021 年3 月の古文書修復実習(2020年度事業)は、抽選でえらばれた前年度の参加予定者を対象に、講師が映像などを用いて修復の技法を解説する「オンライン実習」を試みることにした。当日のスケジュールは以下のとおりである(参加者15名)。
[日時]2021年3月8日(月)9:00~16:00(Zoomミーティング)
9:00- 9:45 主旨説明/講師・参加者自己紹介
9:50-10:35 記録・解体(白水智)
10:45-11:25 修理(山口智史)
11:30-12:15 復元(関口博巨)
(45 分間昼休み)
13:00-13:45 剝離(中村慧・平田茉莉子)
13:50-14:35 整理(白水智)
14:45-16:00 座談会
例年通りの古文書修復実習であれば、受講者は常民研の修復室で、2 日間にわたって、いくつもの作業を実際に体験することができた(擬似古文書を使用)。1 日の「オンライン実習」では、文字通りの実習にはなり得ないが、受講者の皆さんが、日本常民文化研究所の活動と古文書修復の一端に触れていただく機会にできたのではないかと思う。
また、対面での古文書修復実習と同様に、今回の受講者も、博物館や図書館などにお勤めで、日常的に古文書などの紙資料を扱っておられる方が多かった。オンライン実習の最後の座談会は、実習内容にかんする質疑はもとより、資料保存活動を進める上での課題や悩みを語り合う場にもなった。今回はオンライン開催になったとはいえ、その点で、20 数年間続いている古文書修復実習の特長は引き継ぐことができたといえよう。
(文責:関口博巨)