神奈川大学日本常民文化研究所

講座と展示

第22回 常民文化研究講座 民具を語る 4 

「原方刺し子の世界-ひと針に思いをこめて-」(遠藤きよ子氏)
終了報告

テーマ:「原方刺し子の世界-ひと針に思いをこめて-」
発表者:遠藤きよ子氏(刺し子作家 日本手芸普及協会会員)
日 時:2018年7月23日(月) 14:00~16:00
会 場:神奈川大学横浜キャンパス 9号館911室(日本常民文化研究所)
主 催:神奈川大学日本常民文化研究所
共 催:公益財団法人 ポーラ伝統文化振興財団

  • 刺子の作品
  • 遠藤きよ子氏の発表
  • 原方刺子の基本を遠藤氏の指導を受け実践
  • 十字刺しと立枠の図案(クリックにて拡大)

 講師の遠藤きよ子さんは地元米沢で自宅の蔵を開放し「よねざわ伝承館」を開設するなど、「原方刺し子」を後世に伝えようと努力されている方で、講義はポーラ伝統文化振興財団作成の記録映像の解説から始められた。近年、多方面から手仕事に注目が寄せられていることも反映してか当日は、いつもの例会とは違い研究者だけではなく一般の来聴者の参加が見られ関心の高さがしのばれた。
 講義ではまず、基本的な刺し子の技の説明がなされた後、120万石から15万石に減封され半農半士の生活を余儀なくされた米沢藩士の中の「原方衆」の妻の誇り・意地の表れともいえる「原方刺し子」の歴史が「花ぞうきん」を代表例として解説された。その後、針を持つのは小学校の家庭科以来初めてという受講者もいる中、遠藤きよ子さん自らの手ほどきで「原方刺し子」の基本、「立枠」と「十字刺し」に参加者全員が四苦八苦しながら取り組んだ。
 今回の講座は、本題はもとより、大量生産・大量消費・大量廃棄の現代社会において手仕事の持つ意味を改めて考えさせられたひと時ともなった。

(文責:佐野賢治)