第26回 常民文化研究講座「古文書修復実習」終了報告
4年ぶりに対面実習を開催
日程:2023年3月12日(日)~3月13日(月)
会場:横浜キャンパス3号館地下2階 古文書修復室
講師:関口博巨(所員) 白水智(客員研究員・中央学院大学教授)
山口悟史(客員研究員・東京大学史料編纂所技術専門職員)
中村慧(杉並区生涯学習推進課文化財係) 平田茉莉子(修復専門員)
日本常民文化研究所による古文書修復実習は、コロナ渦のため、2019年度は中止、2020~21年度はオンラインで開催してきた。今年度は実に4年ぶりに対面実習を再開することができた。ただし、感染症対策のため、参加定員は12人に制限した(従来は20人)。
今回の実習では、古文書修復の基本となる ① 記録・解体 → ② 修理(繕い・裏打ち)→ ③ 復原(化粧裁ち・製本)の3工程と、これに加えて④襖や屏風などの下張り文書の剥離作業を体験的に学んでいただいた。
「① 記録・解体」は、修復前の古文書の寸法や傷み具合などを記録し、②に備えて古文書を展開・解体する工程である。あわせて古文書の調査・整理・保存(現状記録や目録データベース化など)についても説明・提案した。「② 修理」は、繕いや裏打ちなどの技術をつかって、傷んだ古文書を補修・補強する工程である。和紙・正麩糊・刷毛など、さまざまな材料や道具を扱った。「③ 復原(化粧裁ち・製本)」は、裏打ちの和紙部分を整え(化粧裁ち)、冊子を仕立て直し、もとの形にもどす工程である。古文書修復に関する上記3工程のほか、襖や屏風の下張り文書の剥離を体験する「④ 剥離」部門も設けた。
受講者の皆さまには、3名ずつ4グループに分かれ、二日間にわたって、上記4工程を体験していただき、ご高評をたまわった。なお、実習期間を三日間にしてほしい、中級コースも設けてほしいなどのご要望もいただいたことも付記しておきたい。
(文責:関口博巨)