神奈川大学日本常民文化研究所

研究所紹介

国立民族学博物館

創立100 周年記念事業 国立民族学博物館との学術交流協定締結

日本常民文化研究所と国立民族学博物館
—渋沢敬三の育てた"民"の学問— 

館長との会談の様子

 日本常民文化研究所100 周年記念事業にともないアチック・ミューゼアム(屋根裏博物館)を同祖とする大学共同利用機関法人・人間文化研究機構、国立民族学博物館を2020 年2月27日(木)に訪問、今後の相互交流について意見交換を行い、その後、館の進める資料の情報化・公開化の説明を受け、アチック・ミューゼアム、渋沢敬三関係資料を参観して一日を終えた。以後、相互に話し合いを進め、2020 年3月26日学術交流協定を締結するに至った。
 国立民族学博物館の構想は、渋沢敬三が1935 年に白鳥庫吉等とともに日本民族学会を設立、政府に国立民族学博物館設立の陳情をしたことを嚆矢とし、1937年、渋沢はアチック・ミューゼアムに収蔵されていた民具等約2万点を日本民族学会に寄贈、保谷に日本民族学会附属民族学博物館が設立された。その後、所蔵資料は文部省史料館に移管され、さらにこれらの資料が基礎となり国立民族学博物館が1974 年に大阪万博跡地に設立された。一方、アチック・ミューゼアムはアチックミューゼアムソサエティとして1921 年発会、1925年に正式にその名となったが、戦時中の1942年に日本常民文化研究所と改称、戦後は財団法人となるが、1981年に神奈川大学に招致され大学付置の日本常民文化研究所となった。
 渋沢の目指した常民の学を実践する両機関は、公私や規模の違いがあるもののその研究志向や活動指針に共通性があり、相互に学術交流を行うことで、学際的・国際的により発展性のある成果が期待され、この協定は、アチック・ミューゼアム100周年を機にその関係を改めて確認することにもなる。以下に訪問日と出席者の詳細および協定書の概要について記す。

訪問日 2020年2月27日(木)
出席者 
[国立民族学博物館] 
館長・吉田憲司、平井京之介教授(副館長)、野林厚志教授(学術資源研究開発センター長)、西山和彦管理部研究協力課長 
[日本常民文化研究所] 
所長・佐野賢治、前田禎彦、高城玲、泉水英計(以上所員)、越智信也(職員)

(左)アチック・ミューゼアム収集民具 
(右)国立民族学博物館・渋沢敬三没後50 年記念「屋根裏部屋の博物館」ポスター(2013)
  • 民族学博物館の収蔵庫内での視察(撮影/高城玲)
  • 民族学博物館の収蔵庫見学

神奈川大学日本常民文化研究所と大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立民族学博物館との
学術交流に関する協定に関する概要

 今後、双方が学術交流を進めるために、主に下記の5つの項目について定めた。
 1 .情報の交換 
 2 .印刷刊行物等の交換 
 3 .研究者の交流 
 4 .調査研究および教育普及事業協力 
 5 .経費の負担  
 上記のうち、1.および 2.については、研究成果その他の動向、およびそれぞれの印刷刊行物等の交換を行うこととし、3.についてはそれぞれが主催する研究集会・シンポジウム等への招聘の他、相互に若手研究者の受け入れや調査研究のための便宜を図ることとし、4.については調査研究および教育普及事業においてそれぞれ便宜を図ることが記された。5.については、上記の相互交流を実現するための経費について明記している。
 本協定は、訪問後、相互の機関内における所定の手続きを経て、日本常民文化研究所の所長佐野賢治と国立民族学博物館の館長吉田憲司の両者が署名をして2020年3月26日に締結された。

(文責:佐野賢治)

■2019年度の活動

  • 国立民族学博物館視察訪問 2020年2月27日・28日 国立民族学博物館 佐野賢治・前田禎彦・泉水英計・高城玲・越智信也
  • 国立民族学博物館と学術交流協定締結 2020年3月26日

※上記は『神奈川大学日本常民文化研究所年報2019』(2021)より転載したものです。

学術交流協定締結

日程:2020年3月26日

 2020年3月26日、神奈川大学日本常民文化研究所は、国立民族学博物館と学術交流協定を締結いたしました。