神奈川大学日本常民文化研究所

研究所紹介

台湾海洋大学(基隆)海洋文化研究所(台湾)

※下記は国際常民文化研究機構Webサイトから転載したものです。

台湾海洋大学海洋文化研究所調印式、ミニ・ シンポジウム

日程:2017年6月28日(水)
会場:神奈川大学横浜キャンパス

  • 調印式の様子
  • 顔智英教授の発表と呉舒軒さん
    (歴史民俗資料学研究科院生)

1.経緯

3号館の展示室を見学

 海洋文化に関する学術ネットワークの構築を目的として、日本常民文化研究所・国際常民文化研究 機構の代表として森武麿、佐野賢治、中島三千男、小熊誠が2013年6月に台湾海洋大学海洋文化研究所を訪問した。その際、相互の研究所の歴史と研究状況について情報を交換し、学術協定を結ぶことで意見が一致した。それぞれの大学での手続きを踏まえ、学術締結の準備を進めた。その間、2015年11月の第3回東アジア島嶼海洋文化フォーラム(木浦大学校開催)、2016年10月の第4回東アジア島嶼海洋文化フォーラム(台湾海洋大学開催)で、台湾海洋大学海洋文化研究所所長(当時)の黄麗生教授と学術交流に関する情報交換を継続して行い、今回の学術協定書調印式に至った。

2.表敬訪問

 台湾海洋大学から、黄麗生人文社会科学院院長、下鳳奎研究所所長、顔智英海洋文創設計 産業学系主任、荘育鯉海洋文創設計 産業学系助理教授が本研究所を訪問した。それに対して、三浦副学長と孫学長補佐が常民研に来てくださり、表敬とともに台湾海洋大学一行と学術交流について面談をした。

3.シンポジウム

 両研究所の学術交流を目的として、ミニ・シンポジウムを開催した。内容は、以下の通り。
(1)黄麗生教授「明代朝議中的海南島」
(2)下鳳奎副 教授「戦前基隆と八重山の間の非合法活動
   -《台湾日日新報》を中心とする探求-」
(3)顔智英教授「従陸戦到海戦:明代抗女真戦争詩敍事初探(上) 」
(4)荘育鯉助理教授「詩詞視覚的図象表現-以帰有光的海戦詩為例-」
(5)田上繁教授「『海賊』の系譜をひく家々の結びつき
  -瀬戸内海二神島の二神家・村上家を事例にして-」
(6)昆政明教授 「伝統的木造船の造 船技術-防水技術における日本船と中国船の比較-」
(7)小熊誠教授 「石垣島における台湾系移民の豚祭り」

4.見学

 シンポジウム終了後、3号館の展示室と修復室、収蔵庫を見学した。収蔵品の多さと修復室での下張り文書の剥離の実習などに 関心を示していた。

5.まとめ

 台湾海洋大学海洋文化研究所の代表は、本学での学術協定書締結式を機会に神奈川大学および日本常民文化研究所をじっくりと見学できた。神奈川大学は、新キャンパス創生と合わせて海と港のプロジェクトと考えており、台湾海洋大学は基隆にあり、台湾と日本の交流であった基隆港の共同研究も可能になるという意見も出た。将来に向けて実質的な学術交流の検討を今後展開していくことを、両研究所の代表者で確認できた。

(文責:小熊誠)

学術交流協定締結に向けての調整

日 程:2013年6月3日
出張者:佐野賢治(常民研*所長・機構運営委員長)・小熊誠(機構運営委員・歴民*教授)
 同行-森武麿(歴民*委員長) 中島三千男(歴民*教授)

* 常民研-神奈川大学日本常民文化研究所
* 歴民-神奈川大学大学院歴史民俗資料学研究科

台湾海洋大学(基隆)海洋文化研究所
黄麗生(人文社会科学院院長・海洋文化研究所)・安嘉芳(海洋文化研究所所長)・
呉蕙芳(海洋文化研究所)・林谷蓉(海洋文化研究所)・顔智英(人文社会科学院秘書)

  • 台湾海洋大学は、台湾における海洋に関する唯一の総合的な大学で、1953年に「台湾省立海事専科学校」として創立した。1987年に国立台湾海洋大学と改称し、今年で26年目である。海洋文化研究所は、2007年に創立され、海洋文化史、海洋文学、海洋社会科学などの領域の研究を推進すると同時に、大学院教育を行なっている。
  • 海洋文化研究所の活動は、①海洋文化に関する学術研究の進展、②海洋文化を推進する人材の育成、③海洋文化に関する課題による社会参画、④国際海洋文化交流の推進である。
  • 学術活動は、A国際シンポジウムの開催、B紀要『海洋文化学刊』の刊行、C『海洋文化研究叢書』の出版、D専門テーマの講演、E国際学術交流の推進、F文化産業との交流である。
  • 大学院生のテーマは、台湾の国際結婚、基隆漁民民俗研究、文化的展示の変遷、キリスト教の伝播と基隆の外国人移民などであり、卒業後の進路は、海洋文化の基礎的研究職、文化事業、小・中学校教師などである。
  • スタッフは、専任6名、学内兼任1名、学外兼任2名。黄麗生(明清近代中国史)、安嘉芳(台湾開発史・中国港湾発達史)、呉蕙芳(中国近代社会史)、卞鳳奎(台湾移民史・日本文化史)、應俊豪(中国外交史)、林谷蓉(海洋法政)

—今後の交流について—

  • 海洋文化研究所は、基隆地域の研究をしており、その近代化を考えると日本の漁業などの影響が見られる。漁民の移動や技術の伝播など、共同研究が可能。
  • 漁民文書などを発掘して、常民研の研究方法を参考にしたい。
  • 媽祖信仰や王爺信仰などの海洋文化について、共同研究が可能。
  • 潟湖での農漁民の生活が台湾でも見られる。日本との比較研究が可能。
  • 日本時代の神社が基隆にもあり、共同研究が可能。
  • 国際常民文化研究機構の母体である常民研との協定を締結し、共同研究を推進したい。

 尚、前日6月2日には、指定校推薦入試制度依頼の目的で訪台中の、歴民の森・中島に同行し、下記大学を訪問した。国際常民文化研究機構の母体である日本常民文化研究所との交流に拡大することも期待されるため、ここに追記する。

台湾師範大学(台北)国際処および台湾史研究所
陳秋蘭(国際事務處處長)・梁一萍(国際事務處副處長)
陳国川(文学院院長)・蔡錦堂(台湾史研究所)・范燕秋(同)・許佩賢(同)

  • 国際事務處に表敬挨拶。歴民の指定校推薦について説明。
  • 台湾史研究所で、学術交流と歴民指定校推薦の依頼。
  • 文学院には、歴史学系や台湾史研究所もあるので、歴民との交換留学も歓迎したい。
  • 范燕秋先生は、博物館学専攻なので、常民研との交流も考えられる。

(文責:小熊誠)