第21回 常民文化研究講座「二神島 その歴史と民俗を訪ねて —二神島調査と神奈川大学日本常民文化研究所—」終了報告
2017年12月9日(土)に、第21回常民文化研究講座「二神島 その歴史と民俗を訪ねて-二神島調査と神奈川大学日本常民文化研究所-」が、愛媛県松山市立子規記念博物館4階講堂で、愛媛県教育委員会・愛媛新聞社・松山市・松山市教育委員会の後援、二神系譜研究会の特別協力を得て開催されました。常民研は、長年にわたって愛媛県松山市二神島の調査を行ってきており、その成果が次々と刊行されつつあります。今回は、調査の経緯を振り返りつつ研究成果を地元の方々に還元し共有していくために、講座を松山市で開催することといたしました。横浜を離れて講座を開催するのは、2010年度に岩手県遠野市で行って以来、2回目の試みとなります。
当日は、田上繁「二神島調査の経緯と新たな歴史発見」、前田禎彦「中世二神氏と二神島」、関口博巨「二神種章の歴史意識-『水軍の記憶』を編む-」、萬井良大「二神島の墓石と供養」、昆政明「和船と洋式船-二神島豊田造船所の記録から-」の順で、所員らによる計5本の研究報告が行われ、これまでの二神島調査の軌跡と研究成果を踏まえながら、歴史・民俗の各分野から二神島の過去と現在のさまざまな側面が語られました。その後の「二神島調査の意義と展望」と題したパネルディスカッションでは、津田良樹客員研究員の司会のもと、日本中世史研究者で愛媛大学非常勤講師の石野弥栄氏、二神系譜研究会事務局長の二神英臣氏、長年にわたって常民研の二神島調査にご協力下さっている二神系譜研究会常任理事の豊田渉氏から、常民研の二神島調査にまつわる出来事や思い出も交えながら、その意義や展望について語っていただきました。最後に、特別協力を得た二神系譜研究会会長二神俊一氏、また、最初に二神島調査のきっかけを作って下さった故二神司朗氏の甥に当たられる二神倫一郎氏のご挨拶を得ることもできました。
講座には、関係者も含めて全体で216名の参加を得ました。アンケートによれば、二神島に関係する方々以外にも、地域の歴史・民俗に興味を抱く多くの方々にもご参加いただき、概ね好評であったようです。また、会場後ろでは、二神島や二神系譜研究会の方々のご協力を得て、二神島ゆかりの写真を集めたパネル展示を行いましたが、休憩時間などに皆さんが懐かしげに声を上げながら見入っている姿が大変印象的でした。
慣れない地方開催を無事終えることができたのは、二神系譜研究会をはじめ地元の方々のご協力によるものであったことを改めてお礼申し上げます。今回の講座は、地元に寄り添い一体化して調査・研究を進めていくことが常民研の役割であることを再確認する貴重な機会ともなりました。