2024年 能登地震対応チーム
連続特別研究会「能登—地震から何を学ぶか—」(全5回)オンライン開催のお知らせ
日程:2025年2月21・28日、3月7・14・28日(金)17:00~18:30
※3月21日は卒業式のため開催せず
会場:Zoomミーティング【事前申込・参加無料】
主催:神奈川大学日本常民文化研究所
企画:神奈川大学日本常民文化研究所・能登地震対応チーム
概要


2024年元旦に能登半島で発生した地震は、衝撃的でした。時間が経つにつれてその被害がいかに深刻であるか、明らかになってきました。ところで、能登あるいは能登半島について一般にどれだけのことが知られているでしょうか。輪島の朝市、伝統産業である輪島塗や珠洲焼、北前船の寄港地、さらには景勝地と知られる禄剛崎岬などについては、TV番組などで見たり聞いたりしたことはあると思います。
この講座では、能登に関わる社会・歴史、文化・産業、地質・自然、過疎化と復興、防災などの観点から、それぞれの分野の専門家に多角的かつ分かりやすく話をしてもらいます。その上で、今回の能登半島地震が半島に特有の地形・地質にどのような影響を与えたのか、また村や町の過疎化と復興の問題、さらには防災等のあり方について、皆さんと一緒に考えていこうと思います。
以前に発生した阪神・淡路、東日本大震災、中越地震、熊本地震との相違点を見いだすとともに、今後に予想される東海・東南海・南海地震の防災等についてのヒントを見いだしていただければと思います。
日程
※スマートフォン表示の場合は横スクロール回 | 開講月日 | 内 容 |
第1回 | 2025年 2月21日(金) |
橘川 俊忠(客員研究員) 「能登半島から日本の現在と過去を考える」 神奈川大学日本常民文化研究所は、30年以上前から輪島市町野地区を中心とした奥能登地域の調査を実施してきた。最初は、中央から離れた僻遠の地、中世以来の豪族の家も残り、日本の古い歴史と文化の研究にはもってこいの地域に違いないという期待があった。しかし、調査を進めるとその期待はものの見事に裏切られた。そこには、常識的日本史像を覆す重要な資料が大量にあった。能登を襲った今回の大地震は、そういう貴重な資料を危機にさらしている。それのみならず現在の日本に突き付けている多くの深刻な問題について考えたい。 |
第2回 | 2025年 2月28日(金) |
津田 良樹(客員研究員) 「文化財建造物の被害からみる奥能登」 2024年元旦の震度7、さらに9月の豪雨によって、奥能登は文化財建造物をはじめとして住宅や道路などのインフラは壊滅的痛手をうけた。かつて神奈川大学常民文化研究所が行った奥能登調査の一環として実施した両時国家住宅や総持寺祖院などの文化財建造物の調査に携わった者として、奥能登の文化財建造物がいかなるものであったか、それらがどれほどの被害をうけたか、そしてそれらの今後をうらなってみる。そうした中で、奥能登地域の復興のあり方を考えたい。 |
第3回 | 2025年 3月7日(金) |
落合 努(建築学部特別助教) 「能登半島地震から見る地質・自然・防災」 最初に能登半島地震について地震学的な視点からの特徴や被害の概要を説明する。その後に、能登の地形・地質の特徴とそれに関連した地震被害の特徴について解説を行う。最後に、能登地域と神奈川県とを対比することで、防災上の問題点などを紹介する。 |
第4回 | 2025年 3月14日(金) |
泉 雅博(客員研究員) 「奥能登の歴史像の転換と近現代」 概要「海に閉ざされた辺境、停滞的後進地域という能登半島の歴史像は、13年間に及んだ神奈川大学日本常民文化研究所による「時国家と奥能登地域の調査」の研究成果によって覆された。ここでは、その研究成果の一端とともに新たな史実を紹介し、特に廻船交易を中心にして海に開かれた奥能登の姿を明らかにしたい。その上で、近現代の歩みも振り返り、奥能登における地震からの復興のあり方を展望してみたい。 |
第5回 | 2025年 3月28日(金) |
関口 博巨(所員) 「被災古文書にみる奥能登の歴史」 2024年1月1日、能登半島を未曾有の巨大地震が襲った。家屋の倒壊、大規模な火災、地殻変動による海岸線の隆起など、その被害状況については報道をとおしてご存じの方も多いだろう。だが、古文書などの文化財も被災していることは、あまり知られていない。日本常民文化研究所(現在は神奈川大学日本常民文化研究所)と能登との関係は古く、1950年にまでさかのぼる。奥能登時国家文書をはじめ研究所が調査してきた古文書の被災状況について報告し、あわせて被災した古文書がどのような歴史像を描き出していたのか紹介する。 |
講師プロフィール
橘川 俊忠(神奈川大学名誉教授)
日本常民文化研究所客員研究員。1945年生まれ。東京大学法学部卒業。専門は日本政治思想史。著書に『近代批判の思想』(論創社)、『歴史解読の視座』『日本の民俗学者—人と学問』(以上、共著、御茶の水書房)、『奥能登と時国家研究編2』(平凡社)、『終わりなき戦後を問う』(明石書店)、『丸山眞男「日本政治思想史研究」を読む』(日本評論社)などがある。
関口 博巨(神奈川大学国際日本学部教授)
神奈川大学日本常民文化研究所所長。博士(歴史民俗資料学)。専門は日本近世史。著書に『近世村落の領域と身分』(吉川弘文館)、『古文書を学ぶ—市川海老蔵の証文から』(御茶の水書房)、編書に『古文書修復講座』(勉誠社)などがある。
泉 雅博(日本常民文化研究所客員研究員)
跡見学園女子大学名誉教授。博士(歴史民俗資料学)。13年間に及んだ神奈川大学日本常民文化研究所主催の「時国家と奥能登地域の調査」に参加。日本近世史を専門としており、いわゆる「地方文書」を中心に、地域に生きた人びとの眼差しから日本の歴史を捉え返す、そのような研究を信条としてきた。著書に『海と山の近世史』(吉川弘文館)などがある。
落合 努(神奈川大学建築学部特別助教)
博士(工学)、技術士(建設部門)。神奈川大学大学院修了後、地盤調査会社や建設コンサルタント会社での実務経験を経て2019年から神奈川大学に所属。専門分野は地盤震動、都市防災。
津田 良樹(日本常民文化研究所客員研究員)
博士(学術)、一級建築士。専門は建築史学。著書に『街道の民家史研究—日光社参史料からみた住居と集落(芙蓉書房出版)』など。神奈川大学常民文化研究所非文字資料研究センターから『海外神社(跡地)に関するデータベース』をWeb上に公開している。
お申込み
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お問合せ先
神奈川大学日本常民文化研究所
TEL:045-481-5661(内線4358)FAX:045-413-4151
〒221-8686 神奈川県横浜市神奈川区六角橋3-27-1