神奈川大学日本常民文化研究所

日本常民文化研究所 創立100周年記念事業

国立民族学博物館視察訪問 

日程:2020年2月27日(木)~2月28日(金)
視察訪問先:国立民族学博物館
視察訪問者:佐野賢治、前田禎彦、泉水英計、高城玲、越智信也

  • みんぱく収蔵庫内での視察
  • みんぱく収蔵庫内にて

 国立民族学博物館(みんぱく)設立の端緒には、1935年に渋沢敬三が白鳥庫吉らとともに財団法人日本民族博物館を計画したことが関係する。その後、1977年には世界の諸民族の社会と文化に関する認識と理解を深めることを目的として、大阪吹田市の千里万博公園でみんぱくが開館されるに至っている。現在の標本資料、モノの資料は、約34万5千点を数え、民族学コレクションとしては世界最大級の規模を誇る。戦前の計画当初から渋沢が深く関係していたのみならず、かつてアチック・ミューゼアムに収蔵されていた民具等約2万点も現在はみんぱくに移管されており、本学の日本常民文化研究所(常民研)とは歴史的に深い関係にある。
 一方、常民研は2021年に渋沢敬三がアチックミューゼアム・ソサエティを開始してから100年、本学に招致された1981年から数えても40年の節目を迎える。
 この節目をひとつのきっかけとして、これまでの歴史的な関係を深め、みんぱくと常民研との間で学術交流を一層促進することが検討されてきた。今回の視察訪問では、学術交流協定の締結に向けて、研究者の交流と情報の交換、調査研究や教育普及事業における協力の具体的内容について協議を行った。みんぱく側からは、吉田憲司館長、平井京之介副館長、野林厚志学術資源研究開発センター長、西山和彦研究協力課長に出席頂き、学術交流の必要性と協定書の基本的な内容について大方の合意を得ることができた。
 加えて、現在みんぱくで推進されている「フォーラム型情報ミュージアムプロジェクト」の具体例を画面に表示しながらデモンストレーションして頂いた。このプロジェクトは多様な文化資源について現地社会と連携しながら国際共同研究を推進し、フォーラム型情報ミュージアム(多言語によるフォーラム機能をもつマルチメディア対応のデジタル・アーカイブズ)として発信するというもので、常民研の所蔵する文化資源の研究と発信の方法にとっても参考となる示唆に富むものだった。
 さらに今回の視察訪問では、アチック・ミューゼアムから移管され現在みんぱくに所蔵されている民具資料の一部に関しても、収蔵庫内で見学する機会を得、みんぱくと常民研の歴史的関係の深さを再確認することができた。
 学術交流に関する協定書に関しては、2020年3月26日をもってみんぱく館長と常民研所長の間で締結に至っている。今後はさらなる協力関係が具体的に推進されることを期待したい。

(文責:高城玲)