神奈川大学日本常民文化研究所

調査と研究

基幹共同研究「常民生活誌に関する総合的研究」—布の製作と利用に関する総合的研究—

愛荘町立歴史文化博物館および田上郷土史料館における資料調査報告

日程:2022年3月12日(土)~13日(日)
調査者:昆政明、角南聡一郎
調査先:愛荘町立歴史文化博物館(滋賀県)、田上郷土史料館(大津市)

  • 愛荘町立歴史文化博物館における調査
  • つぎはぎの仕事着(部分)愛荘町立歴史文化博物館蔵
  • 「みはばまえかけ」の着用 田上郷土史料館
  • 「田上てぬぐい」と東郷館長 田上郷土史料館

 布の製作と利用に関する総合的研究の一環として、滋賀県愛荘町立歴史文化博物館および田上郷土史料館の資料予備調査をおこなった。
 3月12日(土)は愛荘町立歴史文化博物館において、同館所蔵の古布を継ぎ合わせた仕事着の調査をおこなった。調査には同館課長補佐三井善勝、同学芸員西蓮寺匠両氏に対応していただいた。同館では2021年度に企画展「つぎはぎの仕事着」を開催しており、極限まで使い込まれた布について、新たな視点を提示しており、いわゆる「襤褸」について北日本地域における保温中心とは違った利用方法を知ることが出来た。
 3月13日(日)は大津市の田上郷土史料館において、紡織用具や各種衣生活資料のコレクションの基礎調査をおこなった。調査には東郷正文館長が自ら対応していただき、資料収集の経緯および資料の調査方法およびカードの記載方法等について、詳細な説明を伺った。これらの資料1,358点は「田上の衣生活資料」として2019年に登録有形民俗文化財に登録されている。この資料は真光寺ご住職でもある東郷館長と地元住民の協力により進められたもので、資料の中でも特徴的な「田上てぬぐい」は2017年大津市歴史博物館において企画展として開催され注目をあびた。
 今回の調査により、布の製作と利用について、今後の調査研究を行う上での、貴重な知見を得ることが出来た。次年度以降は本格的調査に着手する予定であるが、今回の成果を十分に生かしていきたい。

(文責:昆政明)