基盤共同研究 二神家・二神島の歴史・民俗研究
スケッチ帖返却および展示に関する二神島調査
日程:2023年3月18日(土)~3月20日(月)
調査先:愛媛県松山市二神
調査者:前田禎彦、関口博巨、道用大介、日座久美子
「基盤共同研究 二神家・二神島の歴史・民俗研究」は、「共同研究 瀬戸内海の歴史民俗」の成果を継承して2016年度から始まった。2019年度までに「二神司朗家文書」の整理・保全作業に継続して取り組むとともに、画家であった故二神司朗氏(1908-1999)が残したスケッチ帖をもとに『島のスケッチ帖』を編集・刊行した。これによって、長年にわたって続けられてきた二神島の調査・研究にもひと区切りが打たれ、借用した資料の返却など後始末の仕事を残すだけの状態になった。
ところが、2020年度から新型コロナウイルスの流行により出張が困難になり、二神島の調査・研究に関わる業務も滞ってしまった。そして、ようやく3年あまりを経て、2022年度の年度末、3月18日~20日に所員の関口博巨・道用大介・前田禎彦および大学院生日座久美子の4名が松山・二神島を訪れる機会を得ることができた。
このたびの訪問の目的は、1)故二神司朗氏のお弟子さんで篆刻家の中田和邦氏から借用していた司朗氏のスケッチ帖を返却すること、2)二神島を訪れて、2023年3月新たに開設された常民文化ミュージアムの展示に用いる素材を得ることの2点にあった。
3月18日には、上記4名に、調査でいつもお世話になっている豊田渉氏を加えて松山市内にある中田和邦氏のもとを訪れ、借用していたスケッチ帖をようやく返却することができた。また、翌3月19日には前回の訪問から約4年ぶりに二神島に渡って調査を行った。調査には豊田渉氏と、そしてやはりいつも現地の調査にご同行いただいている大学院歴史民俗資料学研究科OBの萬井良大氏にも加わっていただいた。
今回の調査は、二神島の歴史と民俗をテーマとした、常民文化ミュージアムの展示コーナー「生活の記録」に相応しい新しい素材を得ることが目的であった。二神島の現況を記録するため、所員道用大介氏が中心になって、島の各所で360°カメラや3Dカメラを用いた撮影を行い、これまでとは異なる臨場感あふれる画像・映像を得ることができた。また、萬井良大氏・日座久美子氏が中心になって、約1時間にわたり「二神島の昔と今」について豊田氏にインタビューを行い、思い出や島に対する思いを語っていただいた。これらの成果は、2023年度以降、展示内容に順次反映させていきたいと考えている。
久しぶりに訪れた二神島は、空き家となった家が増えたように感じられた。島の行く末が気にかかるところである。
(文責:前田禎彦)