神奈川大学日本常民文化研究所

調査と研究

基盤共同研究 日本常民文化研究所所蔵の川田順造文書を用いた 西アフリカ史・人類学史に関する基礎的研究

「第12回資料調査」

日程:2026年2月9日(月)、2月10日(火)
調査先:27号館101室、201室(横浜キャンパス)
調査者:中尾世治、泉水英計、廣田緑

  • 写真1 マウント付きフィルム(上部に、「10」の印字、「NOV 63」の刻印、青鉛筆の手書きで逆さ「HV」、下部に青マジックペンの手書きで「AF-3B-7」とある)
  • 写真2 マウント付きフィルム(上部に、「14」の印字、青鉛筆の手書きで「HV」、青マジックペンの手書きで「AF. 3-4」、下部に、青マジックペンの手書きで「Mossiの村」とある)
  • 写真3 1962年、パリに向う客船の船上(「サイゴン(船上)」とマウントに手書き)
  • 写真5 1962年、洋上の川田順造(「コルシカ島を背にして(富永氏撮影)」とマウントに手書き)
写真4 1962年、立ち寄ったカイロでの風景
(「カイロ夕景」とマウントに手書き)

 2026年2月9日、10日に実施した第12回資料調査には、中尾世治、泉水英計、廣田緑が参加し、主として、写真資料の整理をおこなった。写真資料は、現像写真、フィルム、マウント付きフィルムがあり、マウント付きフィルムをまとめたスライドファイルが多く残されている。これらのスライドファイルの背表紙には、「PNB」、「MX」などの記号が用いられているが、必ずしも、それらの記号の意味は明らかではなく、撮影年代は不明であった。また、フィルムを収めている一部のマウントにも、手書きで、これらの記号が書かれている場合があり、さらに一部のマウントには年月の刻印がみられた(写真1、2)。1950年代のフィルムでは、マウントが用いられておらず、記号も基本的には用いられていないことから、今回の整理作業では、1960年代に焦点をあて、その時代のフィルムの記号の意味を特定することにつとめた。
 明確に年代が明らかになったフィルムは、1962年の日本からフランスへの客船での渡航の際に撮影されたもの、1962年から1963年のオート・ヴォルタ(現、ブルキナファソ)を含む西アフリカ諸国の渡航の際に撮影されたものである。前者は「JF」、後者は「AF」という記号を用いてナンバリングがされている(写真3、4、5は、JFのものである)。「AF」の手書きのあるマウントについては、複数の異なる箱からみつかり、それらの記号は「AF-2」、「AF-3」、「AF-3B」からなり、それぞれの枝番(「AF-2-1」など)ごとに、1から最大で38までのナンバリングが印字されていることがわかった。「AF」の一部のマウントには、年月の刻印に加え、手書きでの撮影年の記述があり、それらは1962年から1963年12月の幅に収まっていることがわかった。この期間、川田順造は3回にわたって短期のアフリカ渡航をおこなっており、「AF-2」、「AF-3」という記号はそれぞれ、Africa-1962、Africa-1963を意味し、「AF-3B」は1963年の3回目の渡航時のものを指していると推論された。
 今回着手したものは比較的同定が容易なものであったが、最も長期で、インテンシブにフィールドワークがなされた1970年代から1980年代のフィルムの記号はより秩序が見えにくいものとなっている。また、写真資料は膨大に残されている。本共同研究期間内に写真資料のすべてのデジタル化をおこなうことは困難であるが、研究会と並行して資料調査を進め、写真資料の全体像を把握できるようにしていきたい。

(文責:中尾世治)

※本研究はJSPS科研費課題番号23K25434の助成を受けたものです。