基盤共同研究 日本常民文化研究所所蔵の川田順造文書を用いた 西アフリカ史・人類学史に関する基礎的研究
「第13回資料調査」
日程:2026年3月18日(水)~19日(木)
調査先:日本常民文化研究所
調査者:中尾世治、池邉智基、神代ちひろ、小綿哲、廣田緑、三津島一樹
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図1 コンタクトプリントを収めたアルバム
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図2 アルバム中のコンタクトプリント
2026年3月18日、および19日午前中に実施した第13回資料調査では、中尾世治、池邉智基、神代ちひろ、小綿哲、廣田緑、三津島一樹が参加し、中尾と廣田は写真資料の整理作業をおこない、他のメンバーはそれぞれの担当の資料の写真撮影および読解を続けた。
今回の写真資料の資料調査では主として、1971年末から1975年10月までのオート・ヴォルタ(現、ブルキナファソ)の長期滞在時の写真資料の特定をおこなった。写真資料のなかには、図1、2のように、コンタクトプリント(写真フィルムを印画紙に密着させて原寸プリントしたもの)を収めたアルバムが含まれている。現段階では、二つの箱(箱番号144, 568)に計7冊が確認できており(このほかに元アルバムが不明のコンタクトプリントの束が1つある)、AからFまでの分類記号が確認でき、それぞれフィルム単位での枝番(A-1など)が付されている。これらのアルバムは1966年から1979年までの年代幅のある写真を含んでいる一方で、AからFまでの分類記号は必ずしも年代順となっていない。たとえば、図1に示したAのアルバムは1973年から1975年までのマリ、オート・ヴォルタ、ニジェールで撮影されたものを含んでいるが(背表紙に1973年から1974年のマリ滞在のものと書かれているが実際にはそれ以外のものも多く含まれていた)、Eのアルバムは1966年と1972年のオート・ヴォルタ滞在時の写真が含まれている。現時点では、分類記号がFまでであるのか特定できておらず、全体像は不明であるが、テーマ別の分類があったのかもしれない。また、こうしたコンタクトプリントのアルバムは1970年代で一区切りとして、ネガフィルムの写真の整理をおこなっていたのかもしれない。
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図3 市場(1972年、カチョラ)
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図4 収穫されたトウジンビエとモロコシ(1975年、テンコドゴ)
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図5 集団による打穀(1975年、テンコドゴ)
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図6 集団による打穀(1975年、テンコドゴ)
そして、このような分類記号の理解を踏まえて、コンタクトプリントの元の写真フィルムの一部を特定することができた。このフィルムは、4つの箱(箱番号148, 161, 164)に分散して保管されており、フィルム一つあたりで紙の袋に入れられており、その袋に分類記号とフィルム番号、撮影場所や撮影年月などが書かれている。図3はE2のもので、紙袋の記載情報からは、1972年のコートジボワール中部のカチョラ市(Katiola)の市場を写したものとされる。図4, 5, 6は、川田順造の主たる調査地であったオート・ヴォルタのテンコドゴで1975年に撮影されたものである。収穫後にトウジンビエやモロコシを集団で打穀した場面を写している。
今回の資料調査で、ようやく1970年代の写真資料の一端を垣間見えることができた。しかし、分類記号に対応するフィルムのすべてを特定できていない。次回以降の調査では引き続き、1970年代の写真資料群の整理をおこないつつ、他の時代に整理されたと思われる別の分類記号についても順次明らかにしていきたいと考えている。
(文責:中尾世治)
※本研究はJSPS科研費課題番号23K25434の助成を受けたものです。


