神奈川大学日本常民文化研究所

調査と研究

基盤共同研究 日本常民文化研究所所蔵の川田順造文書を用いた 西アフリカ史・人類学史に関する基礎的研究

「第8回資料調査」

日程:2025年10月3日(金)
調査先:27号館101室、201室(横浜キャンパス)
参加者:中尾世治、平山草太

  • 1979年9月8日発表レジュメ
    「モシの王制における時間の表象」
  • 1992年9月10日日仏会館講演原稿
    「L'expérience francophone d’un japonais(ある日本人によるフランス語(世界)の経験)」
  • 1975年のオート・ヴォルタでの自動車事故後に病院で執筆された「負傷記」
  • 作業風景

 2025年10月3日に実施した第8回資料調査には、中尾世治と平山草太が参加した。今回の調査では、これまで多くのメンバーによって行われてきた集中的な資料調査の成果を踏まえ、未開封の資料の整理を進めた。調査対象には、1970年代に川田氏がテンコドゴ市で行った調査に関する資料が含まれており、街区ごとの地図や居住者の親族関係・歴史を記したフィールドノートのほか、1975年のオート・ヴォルタでの自動車事故後に病院で執筆された「負傷記」などがあった。さらに、1978年から開催された「エリアの会」に関する研究会議事録や、「モシの王制における時間の表象」などの発表レジュメ・原稿も整理の対象となった。これらの中でも、特に1992年9月10日に日仏会館で発表された「ある日本人によるフランス語(世界)の経験」の原稿は注目に値する。これは、川田氏が自身のフランス語の修学経験から説き起こし、文化の三角測量を自己との関係において論じ始めた最初期の文章であり、川田氏の研究の展開を明らかにするうえで貴重なものとなっている。今回の調査によって、未開封の資料は残りわずかとなったものの、なお一定数が残されている。今後、数回にわたる小規模な資料調査を重ねることで基礎的な整理作業を完了させ、その成果を今後の研究発表に活かしていく予定である。

(文責:中尾世治)