共同研究 ブラジル日本人入植地の歴史民俗学的研究
公開研究会「ブラジルにおける日本人移民の住まいと生活」終了報告
日時:2018年3月13日(火)14:00~17:00
会場:神奈川大学日本常民文化研究所
発表者:
基調講演 肱岡明美氏「MINKA-リベイラ沿岸の日本人移民の家屋」
調査報告① 須崎文代氏 「レジストロ移民住宅調査の概要と移民住宅の特徴」
調査報告② 田中和幸氏 「現地調査にみる日本人移民住宅の架構形状」
INSTITUTO FEDERAL CAMPOS REGISTROで建築学を教えるAkemi Hijioka(肱岡明美)氏は、2016年に「MINKA-Casa dos Imigrantes Japoneses no Vale do Ribeira(民家-リベイラ沿岸の日本人移民の家屋」でサンパウロ大学(Instituto de Arquitetura e Urbanismo, USP)から博士号を授与されたブラジル日系人の建築専門家である。基調講演ではこの学位論文の内容を中心に、レジストロ・リベイロ沿岸地域の日系移民住宅について豊富な図像を用いて概説された。その延長として同氏が現在調査中の逃亡奴隷起源の近隣集落の建築様式(屋根勾配、土壁の作り方、現地木材の使用について等)にも触れられ、その日系移民住宅への影響が示唆された。
これに続き、須崎文代氏(神奈川大学工学部特別助教)から「レジストロ移民住宅調査の概要と移民住宅の特徴」として、2016年2月に同研究会建築班が行った移民住宅(沖山スズ邸、沖山剛造邸、天谷邸の計3棟+ドイツ移民住宅1棟)の現地・実測調査の内容と、実測からおこした野帳にもとづき作成したCAD図面による説明に加え、実測及び文献調査による移民住宅の建築的特徴について報告された。
さらに、田中和幸氏(近畿大学工業高等専門学校准教授)から「現地調査にみる日本人移民住宅の架構形状」として、特に小屋組みや窓周りの木軸とまぐさ、窓台の構造にみられる特徴について、現地の代表的木材と考えられる堅木のカネラ材を用いた加工方法を鑑みた移民住宅の特徴についての検討結果が報告された。
※本研究はJSPS科研費15H05172の助成を受けたものです。
(文責:須崎文代、泉水英計)