神奈川大学日本常民文化研究所

調査と研究

受託研究 国立研究開発法人水産研究・教育機構古文書目録作成業務

和歌山県立博物館・湯浅地区調査(2018年度)

日程:2019年3月9日(土)~3月11日(月)
調査先:和歌山県立博物館、湯浅町教育委員会、和歌山地方法務局湯浅出張所ほか
調査者:前田禎彦、越智信也、萬井良大、相原隆一

湯浅町教育委員会での資料調査
湯浅町松宮家の近世期の資料

 2018年度と2019年度の両年で、和歌山県の「松宮百合子家文書」「野原茂八家文書」をはじめとした6つの資料群について目録を作成して刊行する計画である。そのため、2018年度は水産研究・教育機構の受託研究として、今年度は6つの資料群全般にわたって情報収集を行うため、和歌山市を訪れ、翌日には資料の分量が比較的多い「松宮百合子家文書」について調査するために、湯浅町に出向いた。
 3月9日に和歌山県立博物館を訪問し、国際常民文化研究機構の共同研究代表も務めておられる坂本亮太氏と、この日のためにわざわざ出向いていただいた県立文書館の藤隆宏氏にお話をうかがった。ここで、今回の目録作成にあたって、旧所蔵者の居住地域について、資料の保存・整理状況等の概要をうかがうことができた。
 3月10日は、湯浅町教育委員会を訪れ、今回の調査に際してさまざまなご尽力をいただいた山本隆重氏にお会いして、松宮家が以前に居住していた場所にあった建物を取り壊す際に、教育委員会が預かった当家の資料を閲覧させていただいた。これらの資料から、松宮家が漁網の生産・販売を行っていたこと、湯浅町の御蔵町に、漁網の生産・販売に携わる複数の家があり、「あみ組」を形成していたことが分かってきた。
 3月11日には、再び教育委員会を訪れ、同市の文化財保護審議委員をされている生田俊示氏にお会いした。事前に、現在有田川町におられるという松宮家のご子孫をお尋ねして、所蔵されている資料を借り出していただいていたので、我々は到着すると早速閲覧することができた。全体に近世期の漁網生産・販売に関する資料で、漁網の材料となる苧麻は、広島産のものを必ず使用すること等を定めた「あみ組」の規約が存在していたことが分かった。今回の調査は初回ということで、概要をつかむことを目的としているが、2019年度には、今回の調査結果を整理した上で、再調査を行う予定である。

(文責:越智信也)