神奈川大学日本常民文化研究所

調査と研究

基盤共同研究 日本常民文化研究所所蔵資料からみるフィールド・サイエンスの史的展開

宮本記念財団訪問

日程:2020年7月1日(水)
調査者:全京秀、窪田涼子、泉水英計
調査先:宮本記念財団

宮本記念財団収蔵庫

 宮本記念財団は、服飾研究の宮本勢助と民具研究の宮本馨太郎という父子の業績を記念し、物質文化に関する調査研究をおこなっている研究機関である。今回の訪問では、重要民俗資料の山袴コレクションを筆頭に財団の管理している収集品を見学し、代表理事の宮本瑞夫氏から祖父・勢助および父・馨太郎の研究活動について話をうかがった。話題は宮本家の来歴や財団設立の苦労にまで広範囲に及んだが、瑞夫氏は勢助と早川孝太郎の関係についてとくに注意を促した。
 勢助は小堀鞆音のもとで歴史画を学んだ日本画家でもあった。同門同年生れの安田靫彦が画業で名をなしたのと対照的に、勢助は有職故実の研究から民俗学へと進んだ。一方、早川も上京時には画業を志し白馬会で洋画を学ぶが、すぐに日本画に転じ川端画学校に通った。大正初期より両者には交友があり、根津の地主であった勢助が、上野で書生生活を送る早川を援助することもあったという。早川を民俗学に誘った柳田国男の実弟・松岡映丘も日本画家であったが、両者の出会いはこれより少し下るようである。

(文責:泉水英計)