ATTIC MUSIUM

神奈川大学
日本常民文化研究所
Institute for the Study of Japanese Folk Culture Kanagawa University

調査と研究

共同研究 海域・海村の景観史に関する総合的研究

気仙沼大島調査

日 程:2016年8月18日(木)~8月21日(日)
調査先:気仙沼市大島
参加者:安室知(常民研所員)、大川啓(常民研所員)

目 的:気仙沼市大島にて共同研究「海域・海村の景観史に関する総合的研究」に関連する調査をおこなった。おもに、安室は島内各地において民俗調査を、大川は大島漁協文庫において文書調査をおこなった。

  • 民俗調査風景1
    民俗調査風景1
  • 民俗調査風景2
    民俗調査風景2

○民俗調査(概要) 

アワビカギ
アワビカギ

 長崎地区および要害地区における伝統的漁撈技術について、大学院歴史民俗資料学研究科院生の小野寺佑紀さんの案内のもと、民俗学的な聞き取り調査をおこなった。今回はとくに磯根の魚貝を採捕するコリョウ(小漁)に注目した。コリョウにより生計を維持する漁師をコリョウト(小漁人)、そうした生き方をネッコトセ(根子渡世)と呼ぶ。コリョウとは、船上からカガミ(箱メガネ)を用いて海中を覗き、竿に付けたカギを用いて魚貝を捕るもので、漁獲対象に応じてカギはアワビカギ(1本)、ウニカギ(2本)、ホヤカギ(3本)などを使い分ける。アワビカギの場合は、カギで岩からアワビを引きはがした後、貝を引っかけたまま船上まで揚げるもので、たも網のような捕獲具を用いないことに本地域における見突漁法の特徴がある。そのため、引き上げる途中にカギがはずれてアワビを落としてしまうことがあり、その場合にはカギに付属する刺突具で身の部分を刺して捕る。

(文責:安室知)

○文書調査(概要)

 大川啓は、2016年8月19日、気仙沼大島漁協文庫にて、所蔵資料である「大島漁協組合資料」および「旧大島村役場文書」の調査を実施した。今回の調査は、調査者にとって気仙沼大島でのはじめての調査だったため、漁協文庫の所蔵資料群について全体の構成などを確認することが中心となった。この点では、「気仙沼市大島漁協文庫の会」所属で、国際常民文化研究機構の共同研究「宮城県気仙沼大島における遠洋漁業の歴史的変遷に関する研究—震災救出資料を中心として—」の代表者である郷土史家・千葉勝衛氏、同じく共同研究者である水上忠夫氏より、所蔵資料群の概要を説明していただいたことが、大変有益であった。また、「旧大島村役場文書」のうち、調査者の専門分野に関わる『第138号 大正7~8年度 米価暴騰救済処置』を閲覧した。本資料は、1918~1919年の米価騰貴時における気仙沼大島や本吉郡の対応を示すものであり、今後も調査分析を継続していく予定である。

(文責:大川啓)