神奈川大学日本常民文化研究所

調査と研究

基盤共同研究 海域・海村の景観史に関する総合的研究

魞漁場図調査

日程:2018年3月7日(水)~3月9日(金)
調査先:滋賀県県政史料室
調査者:安室知

(出典:滋賀県教育委員会編『内湖と河川の漁法-琵琶湖総合開発地域民俗文化財特別調査報告書Ⅲ-』1981年)

 滋賀県県政史料室に所蔵されている1,300点あまりの魞漁場図(明治時代のもの)について閲覧するとともに簡易撮影をおこなった。
 エリは定置型の迷入陥穽漁法で、その最大の特徴は最大1,300メートルにも及ぶ規模と複雑に入り組んだ迷路状の構造にある。規模としては、日本はもとより、世界最大級といってよい。また、構造で言っても同系統の迷入陥穽漁法である定置網に比べてもはるかに複雑である。
 エリは現在でも琵琶湖に存在するが、時代を遡るほど、例えばテンピン・ウチマタゲ・ズットイキなど多様な形態を有する。また、小河川の河口部に仕掛けられる小規模なものから、琵琶湖南湖のような広く浅い湖面に建てられる巨大なものまで、多様な規模のものが存在したことが、今回の調査ではあらためて明らかとなった。

(文責:安室知)