基盤共同研究 海域・海村の景観史に関する総合的研究
共同研究「海域・海村の景観史に関する総合的研究」第7回 漁場図研究会 終了報告
日程:2019年1月25日(金) 14:00~17:00
会場:国立研究開発法人中央水産研究所 第2会議室
発表:1.はじめに—趣旨説明—(安室知:日本常民文化研究所・研究代表者)
2.「漁場図データベースの作成について」
(石井和帆:神奈川大学大学院後期課程学生・研究協力者)
3.「GISを用いた漁場図の空間復元に関する一事例」
(清水健太郎:東京学芸大学研究生)
4.「琵琶湖におけるエリの歴史的展開と民俗技術—伝承資料と筆写稿本から—」
(安室知)
5.「GISによる漁場図研究の可能性—尾鷲の資料を例にして—」
(竹村紫苑:中央水産研究所)
日本常民文化研究所共同研究「海域・海村の景観史に関する総合的研究」の第7回漁場図研究会は、かねてから研究交流をすすめる中央水産研究所において公開の研究会として開催された。中央水産研究所および日本常民文化研究所から、多数の所員、職員、客員研究員などが参加しておこなわれた。
研究代表者による趣旨説明の後、4名の発表者がそれぞれ研究発表をおこなった。
1番目は、「漁場図データベースの作成について」と題し、石井和帆氏から常民研の所蔵する2,000点を超す漁場図についてすすめているデータベース化の概要と作業の進捗状況について報告がなされた。
2番目は、「GISを用いた漁場図の空間復元に関する一事例」と題し、清水健太郎氏からGISを用いた漁場図の空間復元について具体的な事例に基づく報告がおこなわれた。
3番目は、「琵琶湖におけるエリの歴史的展開と民俗技術」と題し、安室よりエリ師から聞き取った伝承資料と漁場図の母体となる筆写稿本を用いたエリ漁の歴史的展開についての発表がなされた。
4番目は、「GISによる漁場図研究の可能性」と題し、竹村紫苑氏より、尾鷲の漁場図を事例としてGISによる歴史史料の解析手法についてその可能性と問題点について発表がなされた。
以上、4題の研究発表の後、フロアーを含めての質疑応答がおこなわれた。その中では、漁場図が描かれる背景としての漁業権に関する基本的理解について、また漁場図のような歴史史料にGISを応用することの意義について、さまざまな議論がなされた。また、今後も本共同研究においては、中央水産研究所と日本常民文化研究所との研究協力関係を発展させることの意義について確認された。
(文責:安室知)