基盤共同研究 渋沢敬三に関する総合的研究
国文学研究資料館および日本常民文化研究所における調査
日程:2023年3月6日(月)~7日(火)
調査先:国文学研究資料館、日本常民文化研究所
調査者:丸山泰明・泉水英計・山本志乃・関口博巨・川島秀一・窪田涼子
戦前のアチック・ミューゼアム(日本常民文化研究所)が所蔵していた古文書や書物などの文献史料とその所蔵の実態をつかむために、国文学研究資料館および神奈川大学日本常民文化研究所において調査を行なった。
6日には東京都立川市にある国文学研究資料館を訪ねた。アチック・ミューゼアム(日本常民文化研究所)において1932年から収集された文献史料のうち、その一部の水産を中心とするものが1949年に国に寄贈された。それらの文献史料は、文部省史料館、国立史料館を経て、今日は国文学研究資料館に引き継がれ、祭魚洞文庫旧蔵水産史料として所蔵されている。また、これとは別に国文学研究資料館には、渋沢敬三が構想し資料を収集したものの実現しなかった実業史博物館のコレクションも所蔵している。今回の調査では、国文学研究資料館の青木睦先生による祭魚洞文庫旧蔵水産史料および実業史博物館コレクションについてのレクチャーを受けた。その上で、収蔵庫の入る機会を与えていただき、青木先生のご案内とご説明により、史料とコレクションとその収蔵・分類・整理の方法とその歴史的過程について実際に目にして時に手に取りながら学ぶことができた。また、島根県浜田浦の漁師である林勘次郎がまとめた『瓦片録』や、青森の製塩に関する文献史料などについて閲覧・撮影・調査を行なった。なお、今回の国文学研究資料館における調査は、渡辺浩一先生、藤實久美子先生、青木睦先生のご協力によって実現することができたものである。3名の先生にこの場を借りて改めてお礼を申し上げたい。
7日は、神奈川大学日本常民文化研究所において、戦前から受け継いでいる古文書について本学の関口博巨先生のご教示を受けながら調査を行なった。1930年代の「祭魚洞書屋」と印刷された封筒に保管されていた古文書を前にしながら、当時の歴史学においてまともな研究史料・研究対象と扱われていなかった地方文書が、どのようにして集められ、整理・分類されて保管されていたのかについて検討した。
2日間の調査を通じて、戦前のアチック・ミューゼアム(日本常民文化研究所)の文庫において文献史料がどのように収集・保管されていたのかについて考える手がかりを得ることができた。次の段階として、これらの文献史料の出版について検討することが必要になってくるだろう。
(文責:丸山泰明)